【実施報告】日本理解プログラム(地域振興) 東広島市の環境保護・地域振興政策

2019年7月23日

志和・福富地域に出発

雨の中バスで出発

7月21日(日)JICA中国に滞在中の研修員、19カ国23名が東広島市内陸部である志和地域、福富地域を訪問し、合同会社「ひとむすび」代表 山田芳雅氏のアレンジにより、「有機農家はなあふ」「上ノ原牧場カドーレ」「道の駅湖畔の里福富」等を見学し、同地域での環境保護・地域振興政策を学びました。

有機農家「はなあふ」でトマトの収穫体験

無農薬の新鮮なトマト

午前10時過ぎ、最初の目的地、志和町の有機農家「はなあふ」に到着。ビニールハウスの中でトマトの収穫を体験しました。ここで作られている野菜は全て有機農法により作られています。有機農法とは「化学肥料や農薬を使わない、環境にやさしい栽培方法」とのこと。畑の雑草をそのまま発酵させて肥料にする等、自然の力を生かした方法により生産されています。また、トラクターの燃料に使用済みの天ぷら油を使用し、資源の再利用にも取り組んでいるとの説明を受けました。

研修員からは「有機栽培の野菜と通常の野菜の値段の違い」「有機農業に対する行政からの支援」「使用済み天ぷら油の回収方法」等、質問が相次ぎました。

田舎家でビーガンの和食体験

自分たちで作ったサラダは格別

収穫したトマトを手に、雨の中を徒歩約5分。田舎家に到着しました。地域おこし協力隊の皆さんのご指導で、昼食作りをスタート。いくつかのグループに分かれ、皆で手際よく作業をしていきます。誰もが楽しそうに作っている姿が印象的でした。

メニューは「オクラとオカラのハンバーグ」「大根、人参、油揚げのみそ汁」「野菜サラダ」等のビーガン料理です。ビーガンとは、完全菜食主義者を指す言葉として、一般的なベジタリアンと区別するために使われているようです。研修員の中には、イスラム教徒、ヒンズー教徒もいて、肉食に関する制限も多いのですが、ビーガン料理であれば安心です。東広島の自然が凝縮された美味しい昼食をいただきました。

新鮮な牛乳のジェラート

雨も止み写真撮影

昼食の後は福富町の上ノ原牧場カドーレを見学しました。加工という面に着目し、ジェラートだけでなくチーズ等の製造も行っているとのことでした。
しっかりとした経営を行い地域に雇用を生むことが地域の活性化につながるという考えが実践されており、当日も悪天候の中、多くのお客さんが訪れていました。しぼりたての牛乳を使ったジェラートは、健康と自然環境への配慮が徹底された優しい味でした。

福富ダムと道の駅

緑豊かな景色に癒されます

その後、福富地域で過疎地域の空き家対策のひとつとしてリノベーション中の民家に立ち寄りました。ここでは、リノベーション完了後に地域の拠点として活用することも念頭に置きつつ、地域の方々を巻き込みながらDIYを行っているそうです。

最後に、福富ダムと道の駅湖畔の里福富を訪問、福富ダムの歴史、建設の目的、総事業費等の説明を受けた後は自由行動。研修員は物産の直売所で、母国へのお土産や、おやつ等のショッピングを楽しみました。

「持続可能な開発目標(SDGs)」

今回の参加研修員の専門は「都市上水道維持管理」、「海上保安政策」、「省エネルギー」等で、地域振興や環境保全を専門とはしていません。国や地域により状況は様々ではありますが、世界的に人口や産業の都市への集中傾向は続いており、また、環境問題は世界全体で取り組むべき課題です。

今回のプログラムは『持続可能な開発目標(SDGs)』の「12:つくる責任つかう責任」や「15:陸の豊かさも守ろう」等とも関連が深いものであり、各参加研修員にとって、帰国後の業務での新たなヒントとなるものと考えています。