【実施報告】広島県立教育センター・JICA中国連携「国際教育-『相互理解、多様性の受容につなぐ授業づくり』講座」

2019年8月27日

JICA中国所長の三角の講義

日時:2019年8月1日(木)、8月2日(金) 9:30~16:45
場所:JICA中国 セミナールーム1・2
主催:広島県立教育センター
協力:JICA中国

 日本に暮らす外国人が急増している現在、異文化を知り、多様な価値観を認め合うことは重要な課題となっています。「グローバルな視点で他者とコミュニケーションをはかり、国内外問わず活躍できる人になってほしい。」そんな願いを抱いて日々児童生徒に接する先生方を対象に、広島県立教育センターがJICA中国と連携して実施する本研修は、今年で9年目をむかえました。今年度も「グローバル人材の育成に向けて、ESD(持続可能な開発のための教育)に基づく国際教育について理解し、児童生徒の主体的な学びにつながる参加型学習を生かした授業づくりの実践的指導力を身に付ける」ことを主なねらいとし、広島県内の小、中、高、特別支援学校に勤務される35名の先生方が参加されました。

 1日目の最初に、JICA中国所長の三角がグローバル人材についての講義を行いました。地球規模の課題や日本を取り巻く現状を解説した上で、そのような世界に生きる子どもたちに今後求められる力とは何か、自身の海外での経験も踏まえて話していきました。また、企業や自治体から評価されるJICA海外協力隊経験者の特長や気質を紹介し、グローバル人材とは決して語学力や渡航歴だけではかれるものではないことを伝えました。参加した先生方からは「頻繁に使われる『グローバル人材』の具体像が良く理解できた」といった感想が上がりました。

 また、主催である広島県立教育センターの指導主事の先生からは、ESDに基づく国際教育の考え方について講義がありました。各教科や学校現場での活動がESDの理念とどう結びついているのか、日常の教育活動でESDをどのように進めていけばいいのかなど、具体的なアクティビティもまじえて解説がありました。

異文化理解と「日本の中の外国」-多様性の受容を自分事にするために-

日本と世界の相互依存を知るアクティビティ

SDGsを理解するワークショップ

 2日目には、広島県内の学校の実践発表がありました。小・中一貫教育が行われている廿日市市立宮島小・中学校からは、地域が誇る世界遺産「宮島」でのボランティアガイド活動を通じたグローバル人材育成の取組、広島県立安古市高等学校からは国連が定めた「持続可能な開発のための目標(SDGs)」を中心テーマに進められた、総合的な学習(探究)の時間についての発表がありました。いずれの学校も、Think Globally, Act Locally(地球規模で考え、地域で行動する)を具現化した活動を展開されており、教育現場での先進的な事例を学ぶ機会となりました。

 JICA中国の職員も2日間にわたり、異文化理解や日本と世界のつながりを考えるワークショップを行いました。実際に授業の中で活用しやすいよう、本研修ではなるべく1時限以内で実践できるアクティビティを紹介し、SDGsに関するワークショップも体験してもらいました。SDGs達成に向けたアクションの中で新たに発生する別の問題について、ICTやメディア、ファッション、著名人といった身近なリソースを活用してどう解決するかを考える「SDGsカードゲーム『X(クロス)』」※1では、先生方の柔軟な発想により、斬新なアイデアが多く出されました。

 また、「認定NPO法人国際協力NGOセンター(JANIC)」がSDGs理解促進のために無料で提供している「ひとこと多い張り紙」※2を応用したアクティビティでは、本家のキャッチコピーを上回る秀逸な貼り紙が作成されました。SDGs達成の期限は2030年。一人ひとりがそのためのアクションを起こすには、まずはSDGsについて理解し、身近に感じることが第一歩といえるでしょう。参加の先生方は、誰でも無料で使用することのできる教材体験を通して、地球をよりよくするための世界共通の目標を「自分事」として捉えていきました。
研修の最後には、各自が今後の実践を見据えた具体的な授業計画を作成するとともに、グループ内で共有し、充実した2日間の講座が終了しました。

 これからもJICA中国は、教育現場で活躍される先生方へのサポートを通じて、グローバルな視野をもった子どもたちの育成に尽力していきます。