【教師海外研修 授業実践】熊野町立熊野第一小学校

2019年10月21日

「体験ツアー」でラオスを知ろう、楽しもう

現地研修でラオスの手話を覚える坪池由美子先生(中央)

ラオスの手話を覚えよう

 熊野町立熊野第一小学校の坪池由美子先生は、今年の夏、JICA教師海外研修でラオスを訪問しました。現地でたくさんのことを吸収されましたが、世界や外国についてまだ知識の少ない小学4年生の児童に何をどう伝えるか、ずっと頭を悩ませていたようです。
 10月2日の朝礼で、坪池先生は全学校の児童にラオス研修の報告をしました。その余韻が残る1、2時間目、4年生の児童105名は「ラオス体験ツアー」に参加しました。
 「ラオスをPRするチラシに見出しをつけたいんじゃけど、ラオスは良いところがたくさんありすぎて、先生、選べんのんよねえ。みんながラオスを『体験』して、素敵な見出しを考えてくれんかな?」
 ラオスの良さを発見するために坪池先生が設定した体験コーナーは3つ。ラオスの算数の教科書や学習帳、現地の主食であるもち米を入れる籠「カッピャック」などの日用品を自由に手にし、「ナム・ワーン」と呼ばれるラオスのスイーツも試食できる「五感で体験コーナー」、ラオスの文化や習慣を知ることのできる「クイズでラオス体験コーナー」、そして「ラオス語&ラオス手話体験コーナー」です。3学級がクラスごとに分かれ、各コーナーを体験し、合図の音楽で交代していきました。クイズコーナーでは日本と異なる風習や違いに頭を悩ませ、坪池先生自身が教えるラオス語コーナーでは、挨拶、簡単な自己紹介、1から10の数え方を子どもたちは熱心に学んでいました。特に手話を使って数を数える場面では、複雑な指の動きも笑顔で素早く習得していました。

学校全体で取り組む異文化理解

クイズを解く児童

ラオスのスイーツ「ナム・ワーン」を堪能!

 ラオスから帰国後、坪池先生は教職員を対象に報告会を行いました。自分が学んだこと、検討中の授業案を発表し、ナム・ワーンの試食も教員全員で行ったそうです。本時の「五感で体験コーナー」でも、他のクラスを担任する、ラオスに行ったことのない2名の先生が「ラオスの算数の教科書に、みんながやってる計算と同じのがあるよ、探してごらん」と説明され、ナム・ワーンの中身を紹介しながら、初めての味が待ちきれない様子の児童によそってあげていました。
 実は熊野第一小学校には、2016年度の教師海外研修に参加された先生が所属されており、坪池先生はその先生の経験を聞き、今も継続的に実践されている研修の知見を活かした授業を見て、ご自身も挑戦したいと参加されました。自身の体験を一人のものにとどまらせず、教員全員に還元することで、学校全体の共有財産にして頂くことは、JICA教師海外研修の大きなねらいです。この授業にも他の学年の先生が訪れ、子どもたちと一緒に体験コーナーを回られていました。
 開発途上国、と聞くと子どもたちにとっても「学校に行けない」「困っているひとがたくさんいる」というイメージがあったようです。しかし、すべての体験を終えた子どもたちの多くは「ラオス、行ってみたいな」という印象に変わっていました。そして、「笑顔がいっぱいラオス!」「ひとりひとりが優しいラオス」「あなたも象使いになれるかも?!」といった素敵な見出しがたくさん出されました。
 研修の応募時、「異なる国で違いがあっても、それぞれが自国の文化に誇りを持ち、幸せに暮らしたいと思っていることは同じだと児童に伝えたい」と書かれた坪池先生の思いを、105名の子どもたちはしっかり受け止めてくれたようです。