【実施報告】SDGs連続セミナー 第2回「難民-世界の課題、日本の今」

2019年11月6日

【画像】日時:2019年10月19日(土)14:00~16:00
会場:エソール広島 会議室(広島市中区大手町一丁目2-1おりづるタワー10F)
参加者:62名
講師:石川えり氏(認定NPO法人難民支援協会 代表理事)
共催:公益財団法人広島県男女共同参画財団 エソール広島

日本が対峙する難民問題

講師の石川えりさん

 2015年に国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)は、世界が取り組む2030年までの目標です。本セミナーは、様々な分野で活躍する専門家から世界各地で起こっている課題を聞くことでSDGsの背景を知り、「持続可能な社会」とはどんなものなのかを考えるきっかけとなるよう企画されました。
 難民問題を考える第2回も、小学生からシニア層まで、62名の方がご参加くださいました。

 講師の石川えりさんが代表理事を務める難民支援協会は、日本に逃れてきた難民を支援するNPOですが、日本にも多くの難民がいること、保護を求めて日本に到着する人々が近年急増していることは、ほとんど知られていません。また、難民というと戦争や紛争から逃れてきた人々、というイメージがありますが、国を追われる理由はそれだけではありません。少数民族であること、宗教や信条の違いなど、様々な理由から迫害を受け、母国を追われる人々が後を絶ちません。一方、難民を受け入れる国の約8割は開発途上国であり、先進国の受入れ状況は決して積極的とはいえない意外な事実が話されました。特に日本の難民認定率は大変低く、また申請から認定までに数年と長い時間がかかることも大きな問題として上げられました。
 石川さんが印象に残ったエピソードとして、ある難民のコメントが紹介されました。「日本ではテレビ番組でタレントが、政治について笑いながら批判することができる。母国では考えられないことだ。日本には自由がある」。「難民」という定義でひとくくりにされがちな何万人もの人々に、暮らし、生活、背景があること、そして彼らを日本のような平和で安全な国が受け入れることの意義と重要性について、石川さんは分かりやすくお話下さいました。また、企業が難民を雇用した事例や私達にできる支援方法など、具体的な取り組みについての紹介もありました。

 質疑応答の場面では、日本の難民認定率が低い理由、逃れてきた人の仕事や収入、子どもの教育についてなど、時間が足りないほど多くの質問が出されました。また、「少子高齢化や労働者不足、地方の過疎化といった国内の課題と、難民受け入れをマッチさせて、両方の問題を解消するようなことはできないのか」といった意見も上がりました。
 「誰ひとり取り残さない」ことを誓ったSDGsを達成するためには、様々な迫害を受け、母国を追われ、逃れた先でも困難に直面する難民の存在を無視することはできません。難民問題が日本の私たちにも身近な話であることを知った参加者からは「情報量が多く、分かりやすく、ためになった」「自分になにができるかを考えていきたい」「難民のイメージが変わった。共に暮らしていける世の中になれば、難民という概念もなくなるのではないだろうか」といった感想が寄せられました。
 
 本セミナーの第3回は12月14日(土)、食品ロスの問題を取り上げます。世界の課題を通して、SDGsと持続可能な社会について、一緒に考えてみませんか?