【教師海外研修 授業実践】八頭町立郡家西小学校

2019年11月15日

異文化を楽しむ

ホームステイ先の家族と並ぶ谷口和輝先生(右端)

 鳥取県八頭町にある郡家西小学校の谷口和輝先生は今年の夏、JICA教師海外研修でラオスを訪問しました。これまで開発途上国を訪問した経験がない谷口先生は、興味と関心を抱きながらも、ラオスに出発する前は不安や心配がつきなかったといいます。しかし、様々な町を訪問したり、小さな村でホームステイを経験したりする中で、ラオスの人々の穏やかな気質や生活に触れ、異なる文化を知る楽しさを子どもたちにも伝えたいと考えました。
 所属校で司書教諭を担当している谷口先生は、帰国後、外国の食文化や風習を紹介する本を使ったブックトーク*を全学年に展開しました。11月1日には、自身が担任する4年2組の児童を対象に、国語の授業の中でブックトークを行い、自身が見聞きしたラオスについても紹介しました。

本で知る外国、ラオスから知る世界

図書室で行われたブックトーク

SDGsを身近に感じてみよう

 谷口先生は、学校の図書館にある本をたくさん準備していました。世界中のあいさつをテーマにした絵本には、言葉だけではなくジェスチャーも含めた世界の様々な挨拶の方法が紹介されています。また、各国の食事や食べ方に関するもの、お風呂について書かれたもの、様々なスタイルで建てられた家が紹介されたものなど、外国の日常生活や暮らしが分かるような絵本がたくさんありました。谷口先生は、それらの本を紹介するたびに、ラオスの文化にも触れていきました。ラオスの主食はもち米で、手で食べることが多いことだけではなく、なぜ手で食べることが習慣になったのか、という理由も解説しました。そして、自身がホームステイ先で体験したラオスの沐浴スタイル、高床式の家など、ブックトークにラオスでの知見を織り交ぜた授業に、子どもたちの元気な驚きの声は止まりませんでした。
 しかし、授業の後半では、子どもたちの表情が変わりました。谷口先生はラオスの学校の水道を写真で紹介した後、1枚のスライドを示しました。「このマークを覚えていますか?」
 谷口先生が示したのは、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発のための目標)の目標6「安全な水とトイレを世界中に」のアイコンでした。そして、SDGsに関する記事が載っている新聞や冊子を紹介し、最後に『ポリぶくろ、1まい、すてた』という絵本を読み聞かせしました。
 世界で問題になっているプラスチックごみ、そして私たちの生活とつながっているSDGsの目標…。小学4年生には少し難しいテーマだったかもしれませんが、真剣なまなざしで谷口先生の話を聞いていた27名の児童は、SDGsで目指す「誰ひとり取り残さない」社会を創る担い手となってくれることでしょう。

*ブックトーク:一定のテーマを立てて一定時間内に何冊かの本を複数の聞き手に紹介する行為。多くは、図書館や学校において、子どもたちを聞き手の対象として図書館司書や学校の司書教諭などにより行われる。(ウィキペディアより抜粋引用)