【広島とアフリカ】サッカー教室で夢応援

2019年11月20日

【画像】サンフレッチェ広島アカデミー普及・ジュニアコーチ
木村翔さん
2019年10月13日(日) 中國新聞SELECT掲載

※中国新聞社の許諾を得ています

イベント前日、子供たちに説明する今は亡きアスチャ=中央(2015年)

2014年夏、エチオピアに国際協力機構(JICA)の体育隊員として派遣された。幼少期からサッカーを続けており、スポーツを通して世界でも活躍したいという夢を抱いて。

スポーツ局に配属され、サッカークラブでの指導やイベント企画などスポーツ環境の整備に携わった。参加者の中には、はだしで練習に来る子も。子供の夢をかなえるきっかけづくりになればと、政府の他部門の協力も得て「DREAMプロジェクト」を手掛けた。

イベント当日。いつも笑顔の子供たちが涙を流していた。ともに指導に当たり、この日を待ち望んでいた高校生のコーチ、アスチャが前の晩亡くなったという。彼は私を公私ともに支えてくれた友人でもあった。生活習慣に由来する心臓病で突然の発作。以前から通院費に悩んでおり、私も相談を受けたが、何もできないままだった。

イベントは中止に。プロジェクト終了も覚悟したが、同僚から、彼の死や命の大切さを伝えるためにもイベントを成功させようと提案があり、別の日に開催することとなった。当日は共催の保健局が手洗い指導を行い、自ら衛生面に気を付けて健康的に過ごすことも改めて学んでもらえた。

またDREAMプロジェクトの集大成として、日本からサンフレッチェ広島のOBである中島浩司さんをお招きして、サッカー教室を行った。現地の子供たちの多くが憧れるプロのサッカー選手の姿に参加者の目は輝き、将来への意欲をかき立てられたようだった。

協力隊の経験から今はサンフレッチェ広島のコーチとして、スポーツができる喜びに感謝することを伝えながら、広島から世界で活躍できる選手を輩出しようと活動している。いつの日か広島とアフリカの懸け橋となれるよう頑張りたい。


サンフレッチェ広島アカデミー普及・ジュニアコーチ 木村翔さん
きむら・しょう
茨城県下妻市出身。U18柏レイソルユースを経て、順天堂大大学院修了。2014年から青年海外協力隊の体育隊員として、エチオピア政府のスポーツ局で活動した。17年から現職。小学生を対象に、世界で活躍できる選手の育成に取り組む。