【イベント報告】2019年度 JICA日本理解・交流プログラム

2019年11月27日

いざ、佐木島へ

 11月10日、秋晴れの日曜日、JICA中国で研修を受けている23か国38名の研修員が、瀬戸内海に浮かぶ三原市佐木島を訪問し、地域の人々との交流など、楽しい1日を過ごしました。
 行きは、因島の重井港からフェリーに乗船。因島まで、ほんの少しですがしまなみ海道を体験しました。美しい因島大橋とキラキラ光る海に大興奮でシャッターを押します。道路維持管理コースの研修員も、「日本の技術は素晴らしいね。」と感想を述べていました。佐木島に到着すると、地元のボランティアガイドの皆さんが、「ようこそ佐木島へ」という歓迎の垂れ幕を持って出迎えてくださいました。バスの中からそれを見つけた時の研修員は、それは嬉しそうな表情を浮かべていました。

全校生徒14名の鷺浦小学校へ

 ボランティアガイドさん達と合流した後、研修員は全校児童14名の鷺浦小学校へ。この日は年1回の文化祭の日。子どもたちが披露する、劇や和太鼓の演奏を楽しみました。劇は「いもころがし」という日本の昔話だったのですが、外国の人にも分かるようにと、セリフの所々が英語になっていました。おかげで研修員たちも、「話の大筋は理解できたよ。」と満足そうでした。
 劇が終わって和太鼓の演奏になると、今まで椅子に座って鑑賞していた研修員が、あちこちで席を移動し、次々にスマートフォンで動画を撮り始めました。もちろん彼らにとっては初めて見る和太鼓です。その音と迫力はもちろんのこと、子どもたちの流れ打ちの動きや低学年の児童のかわいらしさも彼らを引き付けたようです。演奏後は拍手喝采でした。

初めての和食に大満足

おいしい昼食をごちそうさまでした

 文化祭を楽しんだ研修員達は、場所をさぎコミュニティセンターに移して、昼食に和食をいただきました。「ほっとマザーズ」という地域の女性グループの皆さんが、この日のために、コミュニティセンターで作ってくださったのです。メニューは鮭のホイル焼き、厚焼き玉子、野菜のかき揚げ、そら豆の煮物、エビフライ、ピリ辛こんにゃくなどで、松花堂弁当箱にきれいに詰められていました。弁当箱を開けた瞬間に「わーっ!」と歓声が起こりました。「毎日こんな食事ならいいのに。」「ムスリムも安心して食べることができて嬉しい。」と言う人、お箸と必死に格闘しながら食べる人、早々に諦めてフォークを使う人など、皆で食事を楽しみました。辺りを見回すと、ほぼ全員が完食でした。最後においしいお昼を作ってくださった皆さんと対面し、お礼と記念撮影です。ほっとマザーズの皆さんも、空の松花堂弁当箱を見て「良かった。」と嬉しそうでした。

小さな小学校で大きなおもてなし

子ども達とすごろくに挑戦

最後まで別れを惜しむ研修員と子供たち

 昼食後は小学校に戻り、今度は小学生と交流です。子どもたちの自己紹介のあと、3グループに分かれて、低学年とクイズ、中学年とハンカチ落とし、高学年とすごろくを楽しみました。低学年のクイズと言っても、質問もヒントも英語で準備されていました。また、言葉が通じなくても分かり易いように、写真やシルエットを使ってクイズを作っていたことには研修員もビックリ!感心していました。中学年のハンカチ落としは、3グループの中で一番盛り上がりました。研修員は童心に返って必死に走り、その必死な姿に何度も大爆笑が起こりました。高学年とのすごろくでは、研修員も真剣そのもの。振ったサイコロの目が1だと「あーあっ」とがっくりし、6だと「やった~」と嬉しそう。それぞれが子どもたちとの交流を楽しんでいました。子どもたちは、人見知りする子もなく、自然体で研修員に接していました。
 交流会も終わりに近づいたころ、パプアニューギニアのフィオナさんが、どうしても言いたいことがあるから、最後の挨拶をさせてほしいと言ってきました。
「鷺浦小学校の子どもたちと交流する機会をいただき本当にありがとうございました。子どもたちのパフォーマンスが素晴らしく、とてもよくまとまっていました。私も教育関係者だから分かるのです。この子どもたちを見たら、先生方がどんなに素晴らしい教育をされているのか。」ほかの研修員からも、「日本人のおもてなしの心に感動した。」等、多くの感想が寄せられました。学校を去る時も、見送ってくれた子どもたちとギリギリまで別れを惜しんでいる姿が印象的でした。

島の自然に癒されて

「日本のミカンは甘くてジューシーでおいしい!」

 ツアーの最後を締めくくったのは、ミカン狩りとビーチセラピーです。ビーチセラピーとは、浜辺で目を閉じて波の音を聞いたり、ゆったり景色を楽しんだり、海に向かって大声で叫んで心を癒すアクティビティです。体験しているうちに、研修員の表情もだんだんリラックスモードになっていきます。「私の国には海がないから、帰国したら湖でやってみたいわ。」と言ったのは、マラウイのマーシーさん。マラウイ湖畔でリラックスする彼女の姿が目に浮かびます。研修員達は、佐木島の豊かな自然に癒されて、翌日からの研修に向けての英気を養ったようです。佐木島の皆様、素晴らしい一日をありがとうございました。