【学校訪問レポート】広島県立尾道東高校[広島県]

2019年12月10日

広島県立尾道東高校へ

 11月13日(水)、JICA中国で「学校ベースの学習の質改善と教育行政の支援」コースに参加しているアフリカ6か国からの研修員12名が、広島県立尾道東高校を訪問し、2年生の生徒たちと交流しました。研修員は小中学校の校長や教育行政担当官です。尾道東高校は、尾道の観光スポットを歩いて回れる場所にあり、この日も生徒たちの案内による尾道散策が予定されていました。どんなところを見て回れるのだろうか、どんな生徒たちと交流できるのだろうかと、研修員たちはワクワクしながらバスに乗り込みました。

文化の違いにびっくりのお国紹介

生徒たちのお出迎えに、嬉しそうなルワンダのエメルデさん

「こうやって皮をむいて…」と南アフリカ共和国のシタグさん

 バスが学校に到着すると、数名の生徒たちが、研修員の名前の書かれた紙を掲げて出迎えてくれました。そこから5つのグループに分かれて、直接教室へ移動しました。各教室では、研修員のお国の紹介、生徒によるスウェーデンとエチオピアのごみ問題についてのプレゼンテーション、研修員の国のごみ問題についての質疑応答が行われました。研修員はこの日のために、3種類の画像を準備してお国紹介をしました。1つ目は、民族衣装です。アフリカのカラフルな衣装を着て登場したのは、ガーナの研修員です。衣装の写真を見せながら、誇らしげに説明していました。「なんでこんな色合いの服がこんなに似合うんだろう。」という女子生徒の感想が聞こえてきました。
 2つ目の写真はお国の食べ物です。よく食べる豆やイモの写真を紹介した国や、フフ(キャッサバやプランテーンから作られる主に西アフリカの国の主食)とヤギの肉のトマトスープを紹介した国もありましたが、一番衝撃的だったのは、南アフリカ共和国の食べ物です。「私の国では、このムシを食べます。」とシタグさんが見せたのは、お皿に載ったイモムシ。「えー!」途端に教室が騒がしくなります。その反応を待っていたかのようにシタグさんが続けます。「木にいるイモムシを見つけたら、手で捕まえて、こうやって皮をむいて食べるんだよ。」大げさに皮をむくしぐさをして見せるシタグさんに、「無理~!」と叫ぶ声が聞こえます。こうして南アフリカ共和国のお国紹介はとても盛り上がりました。
 3つ目の写真はお国の環境問題についての写真です。森林破壊や大気汚染など、それぞれの国が抱える問題について説明してくれました。

生徒たちのプレゼンテーションに感心!

 生徒たちからは、自分たちが調べたスウェーデンやエチオピアのごみ問題について発表がありました。パワーポイントを使っての発表でしたが、日本語だったので研修員には理解できません。でも大丈夫。国際教養コースの生徒たちが、研修員1人ずつについて、英語で通訳してくれたのです。時には聞き返しながら、時にはうなずきながら生徒の通訳に真剣に耳を傾ける研修員。生徒たちがとても頼もしく見えました。ルワンダのサミュエルさんは、「生徒たちが自分たちでリサーチし発表することに感銘を受けた。」と感想を述べていました。
 最後に生徒たちから研修員に質問が投げかけられました。「日本からどんな支援をしてほしいですか?」その質問にウガンダのカルメさんは、「ウガンダと日本では技術力に大きな差がある。だからゴミを分別したり、それを焼却した熱をエネルギーに変えたりする技術を支援してほしい。」と答えました。「皆さん、知っていますか。ウガンダで走っている車のほとんどが日本車です。私も日本に研修に来ることができてとても感謝しています。日本の技術支援で、ウガンダは日本の良きパートナーとなるでしょう。」

高校生の案内で尾道散策を満喫

尾道の街をバックに微笑むモレフェさん

 プレゼンテーションの時間が終わると、研修員も楽しみにしていた尾道散策です。国際教養コースの生徒たちに案内されて、ロープウェイで千光寺公園を訪れたり、近くのお寺に行ったり、商店街を歩いたり、尾道の街を楽しみました。浄土寺を訪れて、ハトの餌やりを体験した南アフリカ共和国のシタグさんは、たくさんのハトに囲まれて大喜びしていました。また、商店街を散策したルワンダのサミュエルさんとエメルデさんは、細い路地を入ったところにある小さな本屋に案内され、尾道市の空き家再生プロジェクトについて説明を受けました。尾道の素晴らしい景色を堪能した研修員もいました。

あっと言う間の1日でした

最後に全員で記念撮影

 尾道の街を楽しんだ後は、それぞれのグループでお弁当タイムです。生徒たちの食べているお弁当を見て、「誰が作ってるの?」「毎日持って来るの?」と興味津々の様子でした。グループに1人だけいた「自分で作りました。」という女子生徒には「おーっ!」と感嘆の声が上がりました。生徒たちに日本のお菓子をもらい、嬉しそうにしている研修員や、自国から持参したガーナチョコレートをみんなで試食するグループもあり、和やかなランチタイムとなりました。すっかり打ち解けた生徒たちと研修員は、出発の時間がきても写真を撮ったり話をしたり、なかなかお別れができなかったようです。研修員はバスに乗って出発してからも、しばらくの間は興奮気味に、自分のグループがどんなに楽しかったかという事を、お互い自慢し合っていました。尾道東高校の皆様、素晴らしい交流の時間をどうもありがとうございました。