【出前講座レポート】バヌアツでのJICA海外協力隊活動とSDGs-北広島町立千代田中学校-

-世界の課題を知り、多様な視点から地域の課題を考えるきっかけに-

2022年7月29日

「SDGs」って何?すごろくゲームで楽しく学ぼう!

SDGsやバヌアツでの経験について説明する青山さん

すごろくゲーム“Go Goals“。楽しみながらSDGsを学びます

今回の国際協力出前講座は、広島県北広島町立千代田中学校2年生(84名)の授業にお邪魔しました。「世界の課題を知り、広く多様な視点から自分たちが住む地域について生徒に考えてもらいたい」そんな先生の思いから、お申込みをいただいた今回の講座。この日は、総合的な学習の時間で「SDGs」をテーマにした学習を進めていく、はじめの授業です。
講師は、現在、山口大学教育学部に所属し、幼稚園から高校までの教員養成に携わっている青山翔さん。青山さんはJICA海外協力隊として、大洋州の島国バヌアツで小学生や現地の先生に、算数・体育の指導を行っていました。
1時間目は、SDGsの概要について。SDGsの前身であるMDGs(ミレニアム開発目標)の説明では、当時解決されたこと、今もまだ残っている課題、新たに取り組む必要がある課題、SDGsにどうつながっていったのか、詳しく説明していきます。青山さんが強調したのは、「国や政府だけが取り組むのではなく、これは私たちみんなが取り組むことが大事」ということ。青山さんの伝える言葉を、真剣にメモにとる生徒のみなさんの姿が印象的でした。

次は、国連広報センターがHP上で公開している、SDGsを学ぶすごろくゲーム“Go Goals”*。サイコロをふり、SDGs17ゴールそれぞれが書いてあるマス目に着くと、隣の人がそのゴールに関わるクイズを出題します。クイズの答えを確認すると「えー!?」という驚きの声も。クイズを通し、私たちが直面している課題への新たな発見の時間となったようです。ゲームに集中する生徒のみなさんの様子に、教室は熱気に包まれていました。
「すごろくの中のクイズを通して、海洋汚染の大きな原因は人間が関わっている、ということに改めて気づいた。私たちの行動を見直さないといけない。」そんな生徒個人の気づきを丁寧に全体の学びにつなげながら、前半の授業は終了しました。

バヌアツの経験を振り返り、今千代田中学校2年生のみなさんに伝えたいこと

生徒が書いたメモ「みんながSDGsに取り組むことが大切。」

2時間目のテーマは「私とSDGsの関係について考えてみた-JICA海外協力隊の経験を振り返って-」。青山さんが開発途上国に関心を持ったきっかけや、現地で感じた課題をSDGsに絡めながら話は進んでいきます。
人生を変えた本との出会い、そこから描いてきた「世界を見てみたい」という思い。学生時代にアルバイトで貯めた10万円を握りしめ、巡ったアジアの国々。そこで感じた学校教育の課題。子どもたちに質の高い教育を提供したい、と応募したJICA海外協力隊。前半に学習したSDGsにバヌアツでの課題を絡めながら、話は進んでいきます。
協力隊で派遣された先で言葉が通じず泣いてしまったこと。島の子どもたちの存在に頑張ろうと思った日。バヌアツに両親が訪れた時、心から歓迎してくれた島の人々。そして、日本に帰国する時100人近くの人が空港まで見送りに来てくれたこと。青山さんのその時感じたことや、出来事を一緒に辿りながら、バヌアツに自分たちがいるかのような感覚で、お話を聞きました。
青山さんが、バヌアツの教育を変えたい!とスタートした2年間のJICA海外協力隊。今日の話を聞いて、千代田中学校2年生84名のうち、1人でも「世界を見てみたい!」と思ってくれたら。世界の課題や自分たちの住む地域の課題に関心を持ち「何か行動を起こしたい!」思う、探求へのきっかけになれば。講義の後、そんな話をしていた青山さん。
2年生のみなさんにとって、今日がそんな時間であれば嬉しいです。
千代田中学校の先生、生徒のみなさん、ありがとうございました。