日本で学んだ研修員同窓会のきずながアフリカの保健を変える!-仏語圏アフリカ保健人材管理者ネットワーク 保健人材に関する地域閣僚級会合で発信-

2018年5月7日

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記者会見の様子が紹介された新聞記事(2018年5月4日付Soir Info紙)

コートジボワールのアビジャンで2018年5月3日~4日、西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)加盟国による「保健人材への投資:地域行動計画2018-2022承認のための閣僚級会合」が開催されました。この会合において、国を超えたJICA研修員の同窓生たちが、アフリカの保健人材に対する積極的な提言を行ったことが注目されました。

JICAは2009年度以来、国立国際医療研究センター(NCGM)と協働しながら、課題別研修「仏語圏アフリカ保健人材管理」を実施するなどの広域的支援を行ってきました。当初の参加研修員は、フランス語圏アフリカ8カ国の保健省人材局や、地域保健局の行政官たち。国は違っても同じような課題を抱えている彼らは「RVT(Reseau Vision Tokyo)」と名付けられた同窓会ネットワークを組織してきました。

そして今回、大きな国際会議の場でRVTが会合に招待を受けて参加。会期中には、独自に記者会見を実施して、保健人材管理の在り方に対する提言を行うなど、参加者の大きな注目を集めました。

「保健医療部門の雇用と経済成長に関する国連ハイレベル委員会」

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会場の様子(左側に各国大臣が並ぶなか立ち上がり発言するRVT事務局長)

今回の閣僚級会合は、2016年3月にフランスと南アフリカのイニシアチブにより設置された「保健医療部門の雇用と経済成長に関する国連ハイレベル委員会」が取りまとめた報告書を受け、提言を実行に移すための地域行動計画を承認することを目的としたものです。会合には、西アフリカフランス語圏を中心に9カ国の大臣や次官級が参加。また世界保健機構(WHO)や国際労働機関(ILO)、経済協力開発機構(OECD)、アフリカ開発銀行(AfDB)の専門家なども多数参加しました。

同会合には、JICA研修員同窓会が母体となったこの「RVT」も、ステークホルダー機関として招待を受け、参加。事務局長であるセネガル保健・社会活動省人材局のンデラ局長が、ブルキナファソ、ニジェール、マリ、ギニア、ベナン、コートジボワールの保健人材局長らとともに記者会見を実施しました。

記者会見では主なメッセージとして、母子保健や感染症対策といった基礎的保健サービスの提供を担う保健人材の開発・管理は、持続可能な開発目標(SDGs)の保健医療に関する目標を達成する上で、またこの目標にも含まれるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を推進する上で、極めて重要な課題であるという認識が示されました。そして、保健人材開発という課題を経済成長と雇用拡大のための機会として捉えなおし、人材の養成・雇用・配置・定着といった一連の保健人材開発政策の実現に注力していくことこそが、包摂的な成長を目指す社会における「投資」となるということが訴えられました。

帰国後発揮される研修員ネットワークのインパクト

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エボラ緊急支援ワークショップで実施されたシミュレーション(2015年3月、コートジボワール)

 各国の保健人材開発をまさに実務レベルで担う局長たちが「ネットワーク」という形でまとまってこのようなメッセージを発することで、保健人材開発という課題に域内で一丸となって取り組んでいくことの重要性を、メディアや政策決定者に対して効果的に訴求することができました。もともと同じJICAの研修を受けた同窓生であった各国の保健人材局長たち。RVTは、日本で培われた共通の知識と経験をもとに、彼らのイニシアチブでネットワーク化されてきたものでした。

2013年、西アフリカ諸国はエボラウイルス病の脅威に直面、近隣国は緊急的に感染症の拡大を防ぐための緊急措置を取る必要に迫られました。特に、現場で感染の可能性のある患者のケアにあたる保健人材の安全をいかに確保するかが、重要な課題となりました。このような中で機動的な役割を果たしたのがRVTネットワークでした。

ネットワークのつながりを通じて、エボラウイルス発祥国とされるコンゴ民主共和国から、専門家複数名がコートジボワールに急行、サーベイランスやリスク管理、コミュニティとの連携等の実践に関する生の経験が関係諸国に共有されました。さらに2015年には、エボラ蔓延国2か国と国境を接していたコートジボワールにおいて、エボラウイルス病対策のための標準的研修モジュールや、対応手順書などが作成されるに至ったのです。このような緊急事態における素早い対応は、RVTのような「顔の見えるきずな」がなければ、困難であったことでしょう。

自らの力で西アフリカの保健を変える!

 人々の健康を支えるサービスを支えるのは、最後は保健に従事する「ひと」です。持続的開発目標(SDGs)の目標達成においても、保健人材が大きなカギを握っていると考えられています。今回の国際会議では、そういった保健人材管理が抱える問題を構造的にとらえ、保健人材の不足や偏在・流出、人材の育成・採用・継続研修、評価、報酬などといった一連のサイクルを、体系的にマネージしていく必要性が提言されました。
RVTは今後も域内の共通課題に効果的にアプローチするための「知的ハブ」、「リソース・ネットワーク」として機能していくことが期待されます。日本の研修を通じて「同じ釜の飯」を分け合った研修員たち。日本で学びあった知識、共有された経験が、西アフリカの保健サービスの改善に大きく貢献することが期待されます。