難民キャンプで理科実験

2017年11月17日

後藤 泰輔(2015年度2次隊・理科教育)

私は中学校配属のため、任期終了を間近に控えた長い学校夏休み期間を有効活用しない手はなかった。そこで、ソマリアなどの隣国から1万5千人を越える難民を受け入れる小さな地方都市アリアデに赴き、難民キャンプ内の学校で理科を教えている難民の教員を対象にした3日間にわたる研修会を開催することとした。彼らが身近な物を使って実験授業が行えるようになることと、実験器具を正しく使えるようになることを目的とした今回の活動は、難民支援事業を行うLWFという国際NGOからの協力依頼が発端となっており、LWFに配属されている青少年活動隊員と、私とは別の首都の中学校に配属されている理科教育隊員との協同で実施した。

私たちボランティアは、国道線上にある州都アリサビエに設けられたLWFのゲストハウスに宿泊し、そこからアリアデのキャンプまでの未舗装道路を、毎日片道約1時間かけて車で通うことになる。アップダウンの激しい山道に初日からクタクタになりながら、朝の9時過ぎに現地に到着。当国ではあり得ないことだが、なんと教員らがすでに勢ぞろいしている。実はどうやらキャンプでは、7時半から研修が始まるとの誤報が流れていたからの様だった。オペレーションの不具合に一抹の不安を感じる一方で、想定人数を超える30人近くの教員の出迎えを受け、なんとなくだが良い研修になりそうな予感。

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1日目、理科の授業の進め方について説明し、私たちの手作りの実験器具を使った水圧、気体の膨張・圧縮、光の反射の実験を紹介する。その後、実際に教員自身で実験道具を製作・操作してもらう。ペリスコープを製作しながら、「鏡を付け足していったらいろんな方向が見られるようになるよ!」と発言する教員もおり、彼らの好反応に私もやっていて楽しくなる。この1日目の研修後、衝撃の事実をLWFスタッフから聞かされる。UNICEFから寄付された実験セットの使い方が分からず放置されたままなので、この研修中に教えてほしいと。これを知って、国際協力とはただモノを寄付すれば良いというものではないと改めて思った。そのモノが有効利用されるように現場でフォローしなければ、結局なにも変わらないだろう。

2日目、予定の電気回路の実験の紹介に加え、急遽UNICEFの実験キットの取り扱い説明をする。ラッキーなことにUNICEFの実験キットの中に電気回路の実験器具があった。まず私たちが用意した材料で電気回路を組んでみると、その後、教員らはUNICEFの実験器具を使いこなせるようになっている。初日同様、教師の積極的に取り組む姿勢が見られ、思わずこちらも気が引き締まる。

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3日目の最終日。オフロード移動にもだいぶ慣れてきたと言いたいところだが、正直、3日連続で思った以上に体力を消耗されている。この日は、私たちが用意してきた煙草の健康への影響、肺の模型、混合液体の分離の実験と、UNICEFの実験キットのうち金属の膨張・圧縮、温度計・ばねばかりの実験を紹介する。私たちが用意してきた実験は、いずれも初めて目にするもので、教員は特に興味津々だ。初めてやることに対して、不思議に思ったり、なぜだと考えたり、好奇心を持つことは子どもも大人も関係ないのだなぁと実感。実験紹介の後に行った実験授業の実践では、教師同士で自発的に改善の提案を出し合うという光景も見られた。最後に研修参加者にアンケートを行い、私たちの活動は幕を閉じた。

この研修会を通して私が毎日刺激を受けたこと、それは教師の意識の高さである。実は活動前は、そんなに人数来ないだろう、やる気もないだろうと思っていたが、良い意味で裏切られた。3日間、私自身も必死だった。彼らのやる気を無駄にしたくないと。やれるだけのことをやって帰りたいと。帰国した今、あの時の活動を思い起こし、彼らが私たちと共に学んだ研修会の成果を少しでも現場で生かしてくれていたらなぁと思う。また、まだジブチで活動している2人の隊員が研修会を続け、更に実験授業の質の向上を図ってくれたらと願って止まない。