日本留学の経験とJICA開発大学院連携への期待(2019年1月)

Dr. エドウィン P ムヘデ(Edwin P. Mhede)(タンザニア)

現職:タンザニア歳入庁(TRA)長官
留学先:政策研究大学院大学(GRIPS)

私がタンザニアのモロゴロにあるソコイネ農業大学(SUA)で理学士を目指して勉強していた時、日本の労働文化について、「日本人は非常に勤勉である。日本の経済発展は、多面的な技術革新の枠組みによってもたらされた高い生産性や高品質の製品によるものであり、企業単位で効率的な生産方法や農業技術を取り入れているから」と聞いたことがありました。私はこのことについてずっと考えていましたが、もっと知りたくなり、経済文献や歴史に関する一連の資料で日本について学び始めました。そして、日本への留学は、この国について学ぶ良い機会であると考えたのです。2008年、私の強い思いが実現することになりました。JICAタンザニア事務所での選考の後、私はJICAの奨学金を得られることができ、GRIPSの修士課程で勉強することになったのです。日本に入国した最初の日、日本人は非常に礼儀正しいという印象を受けました。この印象は私が日本に滞在している間、変わることはありませんでした。日本の食べ物は私にとって目新しいものでしたが健康的でありました。また環境的にも素晴らしく、暮らしやすいところでした。

修士課程を2010年に修了した後、2013年に文部科学省(MEXT)の奨学金で、同じ大学(GRIPS)に博士号取得のために戻ったのは、私が日本の学習環境を高く評価していたからです。大学側は新入生の私に寮に入ることを勧め、日本の生活様式に溶け込み、日本人に接するための明確な指導を提供してくれました。日本での学校教育は、学生たちに大きな希望を与えます。それは、学位を得られるということだけでなく、国内および国際労働市場での競争に打ち勝つための実践的な技能を身に着けられるからです。個人指導を含めた学生と優秀な教授陣との間に作り出される学習環境によって、質の高い学習能力、そして学習に対する自身の責任感が育成されます。研究内容の質も高く、実証的なエビデンスを提供することで、情報に基づいた政策決定を可能にします。私を含め、より高度な研究に意欲的な学生のために奨学金を提供してくださったJICAに感謝しています。このようなJICA奨学金は、日本の経済発展に係る叡智を学ぶだけでなく、それら叡智を母国の状況に合わせて適用するための研究機会を提供してくれたのです。たとえば、私はGRIPSにいた間、「カイゼン」と呼ばれる、職場での品質・生産性向上を引き出すボトムアップ手法について学びました。その後、私はタンザニアのある製造会社で「カイゼン」を実装したのです。私が現在所属する組織(タンザニア歳入庁)においても、納税者に対するサービス向上を「カイゼン」を通じて行うべく準備を進めています。

最後になりますが、私は日本への留学を心から推奨します。日本は、高い学びの機会を保証する、他に類を見ない留学先です。日本で学ぶための奨学金を得られた方は、大学院生ともなれば、指導教官と共に研究活動を継続する機会もあるでしょう。私もGRIPSから博士号を取得した後、国際的な学術誌に論文を掲載すべく指導教官と共に今も研究を進めています。この様に、あなたも日本の学者や学友と生涯にわたる繋がりを得ることができると思います。

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Dr. OM Romny(カンボジア)

現職:カンボジア工科大学学長
留学先:北海道大学 日本語研修コース、北見工業大学電気電子工学科(修士課程)、同(博士課程)

日本への夢

私は若いころから、日本の人々の勤勉さや、近代産業で作られる製品の質の高さについて耳にしてきました。それで、私は日本に留学しようと考え、1993年にその希望が叶って国費外国人留学生制度により北海道大学と北見工業大学へ留学することとなりました。日本人は礼儀正しいという第一印象を持ちましたが、その印象は日本滞在期間中変わることがありませんでした。馴染みがないものもありますが食べ物は美味しく、環境や景色も、きれいで四季折々です。

私は日本の学習環境を高く評価しています。大学は新しい入学者に寮に滞在する機会を提供し、どのように生活し、社会に適応したらよいかを教えてくれます。教員からの指導を受けると学生は希望に満ちた気持ちになれます。チューター制度による支援に加えて、教育・研究における学生と教員の関係により、質の高い学びと説明力を身につけることが出来ました。私は日本での留学経験に満足しており、JICA-DSPが始まり、留学機会が提供されて、大学院での学位課程のプログラムと日本の近代化の経験について学ぶ機会が提供されることを歓迎します。

元日本留学生として、これから日本に留学予定の方及び留学中の方には、日本での留学において専門知識とともに、幅広い範囲の仕事に対応できる力、粘り強さと分析思考力を備えたリーダシップ、良好な人間関係とチームワークを身につけること、そして、日本の友人を得ることを是非お勧めします。

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Mr. Daniiar Imanaliev(キルギス共和国)

現職:大統領府局長
留学先:立命館大学経済学研究科

私は人材育成奨学計画(JDS)の留学生の一人として、2010年から2012年の間に立命館大学で勉強するという何ものにも代えがたい経験をしました。

日本で学んだ年月は、私の人格や、世界や母国のキルギス共和国で起こっている経済の動きについての理解に大きな影響を与えました。日本の経済史を見て、私が感心したことの一つは、日本がいかにして、自国の伝統を大切にしながら、他国からの知識を得て、それを活用し、今日の民主主義国家を作ったのかです。日本が前世紀に乗り越えてきたことから、発展途上国が学ぶべきことは多くあるのです。大学における素晴らしい研究環境と同様に、私は日本の安全で快適な生活環境全般についても強調したいと思います。

私はJICA-DSPの立ち上げを強く支持します。そして、日本ではいつもそうであるように、この構想に関連する大学及び教育研究内容は、最良のものになることを確信しています。

最後に、日本に留学を希望するすべての学生に、この素晴らしい国の歴史、文化そして経済に精通するための、JICA-DSPというまたとない機会を利用するよう勧めたいと思います。

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