ABEイニシアティブでの留学を終えて:世界の懸け橋に(2022年2月)

Jacquiline Mathengeさん(以下、ジャクイリンさん)は現在、JICAケニア事務所の民間セクター部門の支援を担当する現地職員として働いています。2014年から2016年にJICAのABEイニシアティブ(「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ」の修士課程とインターンシッププログラム)に参加していたジャクイリンさんに、新潟県の国際大学でJICA留学生として過ごした経験についてお聞きしました。

ABEイニシアティブでの留学を終えて:世界の懸け橋に

氏名:Jacquiline Njoki Mathenge(ジャクイリンさん)
出身国:ケニア
留学先:国際大学国際経営学研究科
JICAコース:アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(ABEイニシアティブ)第1バッチ(FSY2014)

研究分野/研究テーマ:金融、サービス品質、プロジェクト管理、投資銀行業務および貿易

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JICAとの出会い

「ケニアでは、日本の大学やJICAとさまざまな形で提携関係を結んでいたジョモ・ケニヤッタ農工大学で学んでいたため、JICA留学プログラムのことを知ったときは、良いチャンスだと思ってすぐに応募を決めました」。

当時、地元の銀行の送金サービス部門で働いていたジャクイリンさんは、将来ケニアのインターネット・モバイルバンキング業界で働くことを見据えて、日本への留学を前向きに検討しました。日本の品質基準を学んで、自国の銀行業界でのサービス向上に貢献したいと考えたのです。

こうしてABEイニシアティブを通じて国際大学国際経営学研究科への留学に踏み切ると、2014~2016年にかけて財務とプロジェクトマネジメントの2科目を専攻し、経営学修士号を修めました。

すべての授業は英語で開講

「日本を訪れるまで、日本語に接する機会がなく全く話すことができず、その難しさがよく分かっていませんでした。しかし、ありがたいことに国際大学のプログラムはすべて英語で行われたので、助かりました」。

その後、日本語を教わる代わりに英語を教える言語交換のプログラムに登録し、各国の仲間たちと交流したジャクイリンさん。当時の経験は、人生や仕事に関するグローバルな視点を深める上で役に立ったそうです。

「日本で過ごす時間を楽しみ、日本文化についてたくさんのことを学びました。本当に充実した日々でした」。

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フィールドトリップと日本企業でのインターンシップ

ジャクイリンさんにとって日本滞在中にもっとも有意義だった経験は、文化的価値の高い博物館や名所旧跡のほか、日産やトヨタといった企業を訪れるフィールドトリップでした。これは、授業で学んだ日本文化や技術開発についての理解を深める機会にもなりました。また、個人やチーム学習で行うケーススタディでは、仲間たちの多様な視点に触れ、学びに一層の奥行きを与えました。

「日本での労働文化への理解をさらに深めるために、1年間のプログラムを終えたタイミングで、日本企業でインターンをしました。東京の大手テレマーケティング会社で、アフリカのテレマーケティングに関する市場調査を行い、新たなスキルの習得に繋がりました」。

JICA留学でのさらなるキャリアアップ

ジャクイリンさんは財務の専門家で、公認会計士としてプロジェクト管理に強い関心を持っています。政府開発援助を行なっているJICAは、日本政府と連携を図りながらさまざまなプロジェクトの実施に関わっていますが、これらのプロジェクトに参加することで、日本で高めた専門性とスキルを活用して、ケニアの成長に直接貢献することができます。

留学中にケニアと日本における働き方やイデオロギーの違いを理解することができたというジャクイリンさんは、その学びを、ケニアと日本の交渉における着地点を探るために活かしたいと考えています。

JICAでの留学を考えている方へ

「日本に留学するなら、異文化に対するオープンマインドを保ち、新たな出会いを無駄にしないことが大切です。日本での留学を最大限に活かすために、学業に励む一方で、文化的なアクティビティにも積極的に参加してほしいと思います」とジャクイリンさんは強く勧めました。

JICA卒業生としてつながり続ける

ジャクイリンさんは、ソーシャルメディアによる強固な同窓生ネットワークを通じて、今も当時の仲間や教授たちとつながっています。「頻繁に連絡を取り合っており、新入生をサポートすることもあります。すっかり大規模なオンラインコミュニティになりました」と話すジャクイリンさんは、ケニアでもJICAの研究者と顔を合わせる機会があります。

「開発業務に携わるようになったので、JICAケニアと一緒に仕事をすることにしました。私は金融に興味がありますが、仕事を通じて、たとえ小さくても大きくても、社会に何らかの影響を与えたいです」。

日本での留学経験を生かしてジャクイリンさんにしかできないJICAとケニアの開発業務を通じて世界への架け橋を目指して下さると思います。

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