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国際女性デー特集:JICA-DSPを通じて母国キルギスのICT分野の発展に貢献する

2023年3月7日

JICA留学生のプロフィール

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氏名:Isaeva Elvira
出身国:キルギス
留学先:立命館大学大学院経済学研究科
JICAコース:JDS(人材育成奨学計画)

留学期間:2022年9月~2025年10月
研究分野:情報通信技術(ICT)

JICA開発大学院連携プログラム(JICA-DSP)では、開発途上国の未来と発展を支えるリーダーの人材育成を通じ、女性のエンパワーメントにも貢献しております。今回は、国際女性デーに合わせ、キルギス共和国経済省出身の女性行政官のIsaeva Elviraさんに、JDS(人材育成奨学計画)の留学生として立命館大学の博士課程に進学することになった経緯を伺いました。

キルギス、中国、そして日本へ

Isaeva Elviraさんは、クルミの森、鉱物資源、山岳地帯で有名な中央アジアの国、キルギスで育ちました。幼い頃は、キルギスの民族楽器コムズを習って演奏していたこともあるそうです。

キルギスで情報通信技術(ICT)セクターの人気が高まる中、Isaevaさんは数学と物理学が得意だったことから、情報技術(IT)の分野に進むことを決めました。中国でWebプログラマーとしてしばらく働いてから経済学の学位も取得し、その後はキルギス経済省のITスペシャリストとして職を得ました。

JICA-DSPを通じた留学で高度な知識を身に付ける

公務員として働く中で、国のIT部門がさまざまな課題と障壁に直面していることを実感したIsaevaさんは、その立場上、IT分野の広範な領域にまたがる深い知識を身に付け、日々発生する諸課題に取り組むための専門性を伸ばすことを求められました。

高度な知識を身に付けるために日本で博士課程に進学することを決めたIsaevaさんは、日本で学ぶ動機について次のように話しました。「日本は先進国で、キルギスのような発展途上国が今まさに直面している段階を過去に経験しました。したがって、日本の経験から学ぶことで、困難や障壁をより上手に乗り越えられると考えたのです」。これこそ、JICA開発大学院連携プログラムが将来のリーダーに期待していることであり、本プログラムを通じて学んでいただきたいことです。

JICA留学生として日本で学ぶ

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「JICAは、私たちのあらゆるニーズに対応し、研究に専念できる環境を整えてくれました。複雑な研究手法を平易な言葉で説明し、いつも励ましてくださる柿中真教授にも感謝しています。」と話すIsaevaさんは、日本の教育について、概念的な学習と質を重視し、系統立った専門知識を提供することに力を入れている点が、母国キルギスとは異なると指摘しています。

勉強に追われる毎日ですが、日本の多様な文化、言語、食べ物に触れながら暮らすことを楽しんでいるIsaevaさんは、次のように述べています。「教育の質を重視することのほかにも、日本の発展を支えたさまざまな要因があり、そこから学ぶべき点は多々あると思います。発展途上国は、資金不足が発展の妨げになっていると考えがちですが、ここ日本では、時間管理、法令遵守、社会秩序、清潔さ、忍耐が、国の発展を支える上で大きな役割を果たしていることに気付きました」。

日本での学びを母国キルギスに持ち帰る

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日本の博士課程で学ぶことで、母国における根本的な問題が何かを見きわめるためのスキルが身に付くと考えているIsaevaさんは、「問題解決において、解決のための知識がなければ問題は大きく見えますが、知識があれば解決の糸口が簡単に見つかります」と話し、母国での発展のために日本で学んだ知識を活かして、透明性のあるIT領域の行政運営に貢献したいと考えています。

Isaevaさんは、日本人の生活様式と価値観における大事なポイントにも注目しています。「成功の鍵は、公務員から市民までのあらゆる人が規律を守り、健康的な生活を送り、道徳心を養うことです」。

科学分野で活動する若い女性へのアドバイス

IT技術と携帯電話技術の登場によって、キルギスの女性たちにも専門性と経済力を高めるための新たな道が開かれたと考えているIsaevaさんは、こう述べています。「今の若い女性たちは非常に野心的で、考え方が柔軟で、知識の獲得に貪欲です。JICA等が提供する機会を通じて海外で学び、IT教育を受けることは、非常に刺激的な経験になるでしょう」。

Isaevaさんは母国の意欲的な若者たちに、JICA-DSPで成長し、母国でITの発展に尽くしてほしいと願っています。「子どもたちは国の未来です。時間を賢く使って、チャンスをつかみ、新たな発想で国に貢献するためにベストを尽くしてほしいと思います。奨学金を得てIT分野で学びたいと考えている女性は、ぜひJICA留学を検討してください。JICAはあらゆる面で私たちを応援してくれます。日本は、留学生の成長を支え、能力の開花を後押しする環境が整った、安全で理想的な国です。女性が安心して働き、暮らせる国でもあります」。

JICA-DSPの留学生活への意気込み

Isaevaさんの博士課程の日本での生活は、まだ始まったばかりです。留学中にさまざまな経験を積み、多くの知識を得たいと話すIsaevaさんは、「知識の力と人の可能性は無限大です。できる限りいろいろなことを吸収して、母国の発展に貢献したいと思います」と希望に満ちた表情で締めくくりました。

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