国際大学における日本理解プログラム(共通プログラム)に参加して(2020年9月)

JICA開発大学院連携プログラム(JICA-DSP)にケニアから参加したレジナ・ドリー・カセムさんと、南スーダンから参加したサイモン・ウベンギ・エルノア・バギニさんが、国際大学で開催された5日間の「日本理解プログラム」について体験を語りました。

小さな学びを大きな力に:日本での経験を活かす

氏名:レジナ・ドリー・カセムさん(Ms. Redzinna Dolly Cassim)
出身国:ケニア
留学先:新潟大学大学院自然科学研究科
研究分野/研究テーマ:桑の葉と実の栄養成分と機能性成分に対するガンマ線の影響
JICAコース:アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ・修士課程およびインターンシップ(ABEイニシアティブ)(2019年度)

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日本留学前

レジナさんはケニア国立養蚕研究センターで食品科学者として働いており、以前から日本や日本文化に強い興味を抱いていたことからJICA-DSPに応募しました。レジナさんは次のように述べています。「養蚕関係でJICAの複数のプロジェクトに関わり、素晴らしい経験をしました。だから、JICA-DSPに応募するチャンスを逃す手はありませんでした」。

真の日本に触れる

日本理解プログラムでは、日本の真の姿とその「背後にある」歴史に触れることができたといいます。「日本理解プログラムでは、稲刈りや茶道などの日本の興味深い伝統文化も体験しました。着物も着ました。どれも初めての経験でした」。

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日本理解プログラムで学んだこと

レジナさんは、5日間の日本理解プログラムで日本の歴史の裏側を知ることができたと話しています。「日本の戦後について学ぶ機会はよくありますが、この日本理解プログラムでは、文化的な側面にまでしっかり触れることができました」。

またレジナさんに、この日本理解プログラムが学び手にとってどう役立つか尋ねたところ、批判的思考などのスキルの向上に大きな効果があるという答えが返ってきました。そして、日本人は、ほかの国の人ならなんとも思わないようなシンプルな物事を深化させて行くと指摘しました。

ケニアと日本とJICAへのメッセージ

レジナさんは、今後も養蚕の仕事を続けて行きたいと考えています。JICA-DSPに参加したことで、日本各地の養蚕場を訪れることができ、例えば食文化を製糸方法に応用するなど、現在のやり方を改善するためのさまざまな方法を学ぶことができたと話しています。「JICA-DSPによる日本への留学では期待以上の経験が得られ、新たな視点も得られました。JICA-DSPは、日本留学において何をすればいいのか、そしてどの学期を選べばいいのかが分かるように作られていました。そのためとても気楽でしたが、大変充実したものでした」。

最後にレジナさんは、グローバル社会の発展におけるJICA-DSPの役割に言及し、ケニアでは日本の文化や社会について知っている人はほとんどいないけれども、JICA-DSPは各国の留学生が広く日本を理解する上で重要な役割を果たしていると語りました。

技術革新の模範例:日本の戦後の歩みから学ぶ

氏名:サイモン・ウベンギ・エルノア・バギニさん(Mr. Simon Ubengi Elnour Bagini)
出身国:南スーダン
留学先:新潟大学大学院自然科学研究科
研究分野/研究テーマ:植物油由来のバイオディーゼルの生産と精製
JICAコース:アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ・修士課程およびインターンシップ(ABEイニシアティブ)(2019年度)

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日本とJICAを選んだ理由

サイモンさんは、東アフリカに位置する南スーダンの出身で、エジプトのアレキサンドリア大学で石油工学の学位を取得しました。日本に興味を持ったのは、戦後の驚異的な復興について知ったことがきっかけです。サイモンさんは次のように述べています。「以前から、日本を訪れてその文化に触れてみたいと思っていました。日本は戦時中多くの困難に直面しましたが、その急速な復興と発展は称賛すべきものです。JICAのプログラムは、これらの側面について学べるように構成されています」。このような関心から、サイモンさんは国際大学における日本理解プログラムに参加しました。

日本理解プログラムの特徴は

日本理解プログラムを通じて、サイモンさんは日本の近代化の歩みや産業の発展など、日本の社会について貴重な洞察が得られたと話しています。「たった5日間で、日本について多くのことを知ることができました。日本が戦後において、さまざまな障害をどう乗り越えたのかはよく耳にします。でもこの日本理解プログラムを通して、農業や地場産業の発展、また最も重要なものである文化についても学ぶことができました」。

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日本理解プログラムで学んだこと

サイモンは、このプログラムは学際的で、日本の歴史や技術から横断的に学ぶものだったと語っています。サイモンさんはエンジニアとして長い経験を持っていますが、日本の社会制度や技術の発展、近代化など、まったく新しいことを学んだと話しています。

また、同様の関心を持つ熱心な学び手にとって、このプログラムは非常に有意義だと感じています。「技術と文化を学んで自国の経済に貢献したいと考える人にとって、有益な内容だと思います。国際大学や新潟の講師陣の親しみやすさと気さくさにも驚きました。本当に親切な人たちばかりでした」。

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今後について

今後サイモンは、日本の大学で学んだことを仕事で活かすだけでなく、草の根レベルでも活かしていく予定です。農村部での農業の機械化を推進し、母国の人々の助けになりたいと考えており、「機械化することでコミュニティは大きなメリットを得られると思います」とサイモンさんは語りました。