カンボジア出身のシナット・ピーさんは、現在、東京大学でのJICA開発大学院連携プログラム(JICA-DSP)に参加しています。インタビューでは、プログラムに参加した経緯や、日本の水道分野における技術など、東京大学で学んでいることについてお聞きしました。
氏名:シナット・ピーさん(Sinat Phea)
出身国:カンボジア
留学先:東京大学大学院 工学系研究科 都市工学専攻 修士課程
研究分野/研究テーマ:水道工学
JICAコース:水道分野中核人材育成(2020年度)
シナットさんは、カンボジアの工業科学技術革新省で技術プロジェクト管理庁技術局次長を務めています。カンボジアでは、北九州市上下水道局の日本人専門家と協力しながら、JICAのプロジェクトとして給水サービスの拡充や検査技術の開発に取り組んでいました。
当時シナットさんは、JICAがカンボジアで行っていたJICA「水道行政管理能力向上プロジェクト」のメンバーで、漏水対策や無収水管理といった水道事業を学ぶため、JICAの短期訪日研修に参加しました。この研修を受けて、シナットさんは更に視野を広げようと考え留学を決めました。シナットさんは次のように語っています。「JICA-DSPに参加し、日本の水道管理に関する技術と管理の両方を学び、母国の水道事業の発展に貢献したいと考えました」。
また、日本人と日本文化にも興味があったと言います。「カンボジアと日本の関係の強化にも関わっていきたいという気持ちもありました」。
世界的に新型コロナウイルス感染症が広がる中で、留学生活には、どのような困難があったのでしょうか。シナットさんが最も苦労したのは、実際に見て、触れて、会って学ぶ方式から、オンラインに切り替えていくことだったと言います。「留学生というだけでも大変なのに、パンデミックの中でさらに苦労が増えました」。そのような状況で、大学も先生方も親身にサポートをしてくださり、新しい環境に慣れることが出来たと言います。「特に、プログラムの担当の東京大学大学院工学系研究科の滝沢智教授は、留学生一人一人に日本の慣習なども丁寧に教えて下さり、非常にありがたいです」。
シナットさんは、日本の戦後の発展についても学んだと言います。「日本は信じられないような発展を遂げています。日本がどのようにして工業部門を発展させ、同時に文化も育んできたのかを知ることができて、大変有意義でした」。
現在、シナットさんは、民間の水道事業体による配水の管理について学んでいます。「カンボジアに戻ったら、私設水道の配水管の敷設や管理に関するガイドラインを作成し、学んだことをできるだけ多くの人に伝えたいです。それから、カンボジアと日本をもっと近づけて、長期的な信頼関係を築いていきたいと思います」。