本行の環境配慮に対する基本的考え方は、政府金融機関として、本行の出融資等の対象となるプロジェクトについてプロジェクト実施主体者による環境配慮が適切になされていることを確認することにある。
本行は、環境配慮の確認を行なった結果、当該プロジェクトの環境配慮が適切ではなく、環境に著しい影響を及ぼす恐れがあると判断される場合には、借入人等を通じて、プロジェクト実施主体者に対して環境配慮の改善を求める。さらに出融資等を行わないとの判断もありうる。
なお、本行は、出融資等の対象となるプロジェクトについて環境面での配慮が適切になされていることの確認を行なう一方で、地球温暖化ガス排出削減に貢献するプロジェクトを含む環境改善プロジェクトのための融資については、これを積極的に取り上げる方針である。
本ガイドラインは、本行が実施する環境配慮の確認のための手続きおよび方法についての指針を示したものである。
本行の役割は、我が国の輸出入若しくは海外における経済活動の促進又は国際金融秩序の安定に寄与することにある。このような役割を果たしつつ、本行が金 融機関として行いうる環境配慮の確認は、通常、借入人等を通じて提供される情報に基づいてなされるが、本行が借入人等を通じてプロジェクトへ関与しうる程 度は案件により様々である。このため、本行が行なうプロジェクトに関する環境配慮の確認の仕方は、借入人等を通じてプロジェクトへ関与しうる程度により案 件により異なる可能性がある。
本行は、本ガイドラインに示すようなスクリーニングや「環境チェックリスト」によるスコーピングの手法を適切に活用することにより、環境配慮の確認を効率的に行うことを目指している。
本行は、借入人等より提出された「スクリーニング用フォーム」に基づき、環境配慮確認の対象となるプロジェクトのスクリーニングを行い、カテゴリー分類に応じた環境配慮の確認を行う。
スクリーニングおよびモニタリングの必要性についての検討結果は、環境担当部署により確認される。また、カテゴリーA及びBに分類されたプロジェクトの中 で、環境配慮につき特に専門的な観点からの確認が必要と判断されたプロジェクトについては、環境担当部署が環境配慮の確認を行う場合がある。
スクリーニングは借入人等より提出されたスクリーニング用フォームに 基づいて、環境影響の大小、および本行の当該プロジェクトへの関与の大小に応じて、本行の出融資等の対象となるプロジェクトをA、B、Cの3つのカテゴ リーに分類する。カテゴリーAおよびBに属するプロジェクトはこれまでの本行の経験等に照らして環境影響が大きくなり得ると考えられるプロジェクトである。
借入人側が融資対象プロジェクトの運営に参画する案件については、必要に応じて、重要な環境影響項目につき、モニタリングを行なう。モニタリングに必要な 情報は、借入人側から提供される必要がある。カテゴリーAの案件は、案件ごとに必要なモニタリング項目を検討し、モニタリングを実施する。カテゴリーBの 案件は、セクターごとのモニタリングフォーム(III参照)に基づいてモニタリングを実施する。カテゴリーCの案件は、本行が必要と判断した場合のみ、モニタリングを行なう場合がある。
当該プロジェクトがモニタリングの結果、環境にかかる現地基準等を満たせない場合には、借入人を通じて、プロジェクト実施主体者に対して事態の改善を求めたり、貸出の停止等を検討する場合もある。
なお、 借入人側が融資対象プロジェクトの運営に参画する案件について、当該プロジェクトの実施にあたり、環境配慮が現地基準に照らして十分でない等の指摘が第3 者からあった場合には、その指摘を借入人に伝達する等の方法により、プロジェクト実施主体者や環境担当官庁による適切な対応を促すよう努めることとする。
プロジェクトの自然環境に関する項目については、原則としてプロジェクト所在国の法律等により規定されている環境関連の基準の遵守を確認する。プロジェク ト実施国の環境関連の基準が、国際的な基準(世銀の環境ガイドラインに示されている基準等その妥当性が国際的に認知されている基準)や日本の基準から著し く乖離している場合や、プロジェクト実施国において現時点で規制が確立していない項目がある場合には、我が国の基準や国際的な基準を参照し、環境配慮の適切性の確認を行う。
自然環境への配慮だけではなく、社会環境、特に非自発的な移転を余儀なくされる住民及び周辺住民に対して、説明が十分なされるなど、住民の同意が得られる ための適切な配慮がなされていることが必要であり、本行はこれを確認する。何らかの問題が生じた場合には、本行は、配慮の適切性について、国際的に認知されている考え方・手法を参考にしつつ確認する。