青ナイル川流域での「持続的な土地管理」を目指して

2018年11月26日

世界最長の河川、ナイル川。エチオピアにはその支川の一つ、青ナイル川が流れています。エチオピア高原を流れる青ナイル川上流域は世界で最も土壌侵食の激しい地域の一つと言われています。

肥沃な土壌が流出し続けると、農地の作物収量が減少し、さらに深刻な場合は耕作自体ができなくなり、エチオピアの国内総生産の40%を担う農業への影響が懸念されています。また、流出した土砂が下流のダムに堆積することで、ダムの機能が低下し、貯水量減少や洪水が起きやすくなることも考えられます。

JICAは青ナイル川流域での土壌侵食問題に対処すべく、2017年3月より、SATREPS:砂漠化対処に向けた次世代型「持続可能な土地管理(SLM)」フレームワークの開発プロジェクトを実施しています。

“SATREPS”とは、地球規模課題に関する開発途上国のニーズを基に、日本と開発途上国の研究機関が国際共同研究を行い、1)両国の人材育成と研究能力向上 2)課題解決につながる新たな知見獲得 3)成果の社会への還元を目的に実施するJICAと科学技術振興機構(JST)による研究プログラムです。

本プロジェクトでは、日本側研究機関として鳥取大学、島根大学、東京大学、エチオピア側研究機関としてバハルダール大学(Bahir Dar University)、アムハラ州農業研究所(Amhara Agricultural Research Institute)、水・土地資源研究センター(Water and Land Resource Center)等が参加し、1)土壌侵食の削減、2)土地生産力の向上、3)農家所得の向上、4)次世代型SLMの開発、5)研究成果の普及を目指して研究を行っています。

11月5日に第2回合同調整委員会 会議(JCC)がエチオピアのバハルダール市で開催され、それにあわせて10名の日本側研究者がエチオピアに渡航しました。JCCにはエチオピア側研究機関代表のバハルダール大学のFirew学長、日本側研究機関代表の鳥取大学恒川教授らをはじめとする、両国研究者が多数参加し、プロジェクトの進捗確認と今後の課題について議論を行いました。

また翌日からは、現場での進捗確認の為の視察を行いました。本プロジェクトでは、青ナイル川上流域の異なる農業生態系を有する試験サイトが、高地・中間地・低地にそれぞれ設定されています。各試験サイトにある耕地、牧草地など異なる土地に、土壌侵食削減や土地生産力向上の技術を開発、検討するための試験プロットが設置されています。日本とエチオピアの研究者が、設置状況やデータの収集状況を確認しつつ、活発に議論を行いました。

エチオピアでの持続可能な土地管理の新たな手法の開発をめざして、プロジェクトは2022年4月まで続きます。

プロジェクトに関連した情報はこちらからもご覧いただけます。

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農地に設置された試験プロット。降雨後に手前のシートに堆積した土壌から流出量を計測し、土壌流出を防ぐ農法、土地利用法を検討。

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バハルダール近郊の試験サイトを視察するエチオピアと日本の研究者たち。