MNGDプロジェクトがエチオピアの地方道路を変えます!

2019年5月16日

アフリカ大陸に広く分布するブラックコットンソイルに代表される特殊土地盤は、エチオピアの国土110万平方キロメートルの1割以上を占めています。この土は含有水分量により大きく膨張や収縮するため、道路のひび割れや盛り上がりの原因となり、このような道路の損傷により幹線道路へのアクセスが断たれた村落では社会サービスや物流へのアクセスが困難になっています。

この膨張性粘土は地盤工学や土木構造工学において地球規模の課題となっており、JICAは日本とエチオピアとの国際共同研究の支援により、この課題解決に挑戦します。この共同研究は、京都大学とアジスアベバ科学技術大学(AASTU)の研究者を代表とし、特殊土地盤上の道路災害低減のための植物由来の土質改良材とその運用モデルの開発を目指します。

エチオピア政府の総合地方道路アクセスプログラム(URRAP)はすべての村落(ケベレ)を全天候型道路につなげることを目指しています。そのためには地方道路を全天候型に改良し年間を通して維持することが必要です。URRAPの第二フェーズでは(1)現地で調達できる資材を用いた革新的な建設手法(2)低コストの建設手法(3)コミュニティ参加、または中小零細企業による維持管理、の3点を重視しています。

この研究プロジェクトは2019年4月から2024年3月までの5年間で実施され、路盤を安定させるセルロースを原料とした土質改良材の開発を目指します。日本では、セルロースを原料としたセルドロンという粉末の商品をセメントと混ぜて使用することが、土質の改良に有効であることがわかっています。エチオピアでは、南オモ県で栽培されているエンセーテ(ニセバナナの葉)やその他の植物の研究をすることにより、そのセルロースが土質改良材として活用できるかを調査します。

南オモ県にあるジンカ大学とエチオピア道路公社の研究者もこの共同研究に参加し、南オモ県とアジスアベバ近郊での運用モデルを研究します。また日本やジンカ大学で行われる道路災害管理研修に参加します。またこのプロジェクトの成果の一つとして、特殊土地盤、特に南オモ県の道路災害対策が必要な村落における道路建設マニュアル・ガイドラインが作成されます。

(注)MNGDはエチオピアの公用語であるアムハラ語で「道路」

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MNGD(Making Road Networks for Glocal Development)

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膨張性粘土

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膨張性粘土により損傷した道路

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南オモ県で広くみられるニセバナナ(エンセーテ)

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エンセーテから採れるセルロースが土質改良材の原料として使用できる可能性がある。

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膨張性粘土の分布を示すエチオピアの地図

このプロジェクトは以下のSDGsの実現に貢献します。

  • 目標8 すべての人々のための包摂的かつ持続可能な経済成長、雇用およびディーセント・ワークを推進する
  • 目標9 レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る
  • 目標17 持続可能な開発に向けてグローバル・パートナーシップを活性化する

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