エチオピアの優良企業とEKI職員がナショナル・カイゼン賞を受賞

2019年12月23日

第5回ナショナル・カイゼン賞授与式典

エチオピア暦では西暦の9月が第1月、新しい年の始まりです。エチオピアでは、この月を『カイゼン月間』と定めて、エチオピアカイゼンキコウ(Ethiopian Kaizen Institute:EKI)が各地方政府と協力し、カイゼンの普及のため、セミナーを毎年開催しています(ちなみに、日本の品質月間は毎年10月です)。今年は、“Kaizen for excelled working culture and industrial competitiveness”をテーマに、エチオピアの主要5都市で州レベルのカイゼンセミナーが開催され、企業や公共団体、病院などでのカイゼン実践の好事例発表や優良企業訪問が行われました。そして、このカイゼン月間のフィナーレとして、10月29日にナショナル・カイゼン・コンフェンレンスがアディスアベバ市内のホテルで開催され、その中で、第5回ナショナル・カイゼン賞授与が行われました。

この式典には、来賓にタゲッセ・チャフォ下院議長、エミイェ・ビタウ国会議員、ブラハヌ・ファイサ副公共サービス委員会長官、そして、松永大介在エチオピア日本大使を迎え、各州の政府関係者、連邦の関連機関代表者、エチオピアの企業・団体の代表者、JETRO、日本企業、JICA関係者、約170名が出席しました。カイゼン賞授与式典に先立ち、大野健一政策研究大学院大学(GRIPS)教授より以下の基調講演がありました。

「故メレス・ゼナウィ首相の招待で日本人研究者がエチオピアに招かれ、カイゼンについての協議を行ったのが2008年です。私はその時からエチオピアのカイゼンを見てきました。エチオピアは、政府が主導でカイゼンの普及に大きな役割を果たしてきました。ご存知の通り、日本では、民間セクターが日々カイゼン実践に取り組んでいます。エチオピアを他のアフリカ諸国と比較すると、エチオピアではカイゼンの継続性が比較的高く、これは称賛されるべきことです。ただし、生産性、品質を向上させて輸出を促進するには、製造業と農業セクターでさらに多くのカイゼンを行う必要があります。」

この講演に続き、長田洋東京工業大学名誉教授から“Contribution of Kaizen to National development and Competitiveness of Global Companies”のテーマの講話、最優良企業の一つである企業 Two Brothers Food Complexからのカイゼン実践紹介、更には、カイゼンプロジェクト総括の杉本清次氏からエチオピアの新カイゼン哲学の提案の発表が行われました。

式典の最後に、エチオピア全国から厳正なる評価を経て選出された企業・団体15社、カイゼン普及チーム(KPT)12チーム、個人13名にナショナル・カイゼン賞が授与されました。そして、今年はこの企業・団体向けのカイゼン賞に合わせて、EKI職員に対象の『カイゼン職員賞』制度を新しく導入、実施しました。これは、EKIでカイゼン普及を直接・間接的に実施する職員のモチベーションを向上させ、組織の活性化を行うことを目的としています。2段階の投票形式にて審査が行われ、最優秀賞(コミッショナー賞)として1名、優秀賞(EKI DG賞)として6名が同賞を受賞しました。

今後もカイゼン普及機関であるEKIの支援を受けつつ、エチオピアの各企業が切磋琢磨し、国際競争力をつけていくことを切に願います。

 

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発表セッションの様子

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受賞した企業関係者

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受賞したEKI間接部門のHirut職員