羊革素材の仕上げ技術向上に向けた技術セミナーを開催しました

2022年1月5日

エチオピア国産業振興プロジェクト(輸出振興)(第2フェーズ)では、皮革素材及び皮革製品の輸出額増加を目標としており、そのための活動の一つとして、エチオピアの革製造工場(タンナー)への技術支援を行っています。

2021年8月、埼玉県草加市で羊革をはじめとするソフトレザーの製造を行っている伊藤産業株式会社にご協力いただき、羊革の表面の傷を目立たなくすることにより、等級の低い革をアップグレードする仕上げ技術の伝達を目的とした教材動画を撮影しました。その後、動画編集を経て、2021年11月11日、エチオピアと日本をオンラインで繋いだ技術セミナーを開催しました。セミナーの実施にあたっては、作成した教材動画のみならず、エチオピアの原皮を使用して日本で仕上げ加工した見本革をエチオピアに送り、作業工程ごとに革がどのように変化しているのか、仕上げ後の外観や質感はどうなっているのかを、実際に触って見て感じてもらえるようにしました。また、仕上げに必要な薬品と、薬品の配合と製造工程が記載されたレシピも送付することで、エチオピアのタンナーが学んだ技術を実際に試し、習得することができるようにしました。セミナーにはLIDI(注)とエチオピアのタンナーから7名が参加しました。参加者からは伊藤達雄専門家に対し多くの技術的な質問が寄せられ、今回指導した仕上げ技術の習得に非常に意欲的な様子が伺えました。また、エチオピアのタンナーが製造している革と伊藤専門家が製造した革の外観や質感が異なることから、日本の顧客はどのような革を求めているのか、というマーケティングに関連した質問も挙がりました。

COVID-19の流行により、日本人専門家がエチオピアに赴いて技術指導を行うことが難しいことから、教材動画を用いてのオンライン技術指導となりましたが、いつでもどこでもアクセスできる動画と見本革により、より多くの工員やLIDI職員へ技術を伝えることができ、遠隔ならではのメリットを生かした技術支援を実施することができました。

(注)カウンターパート機関の一つであるエチオピア皮革産業開発機構の略称。

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日本で加工された革を観察する参加者

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日本で仕上げ加工された羊革

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参加者の集合写真