農業関連展示会でアグリビジネスユニットがブース出展(第2弾)−キューピッド役を演じるカウンターパート−

前回の記事では、カウンターパートである食糧農業省のアグリビジネスユニット(Agribusiness Unit 、以下ABU)が「国際家禽・養殖・畜産展示会(PALS Africa)」への出展にあたり、どのような準備をしたかについて報告しました。そして、今回第2弾として、ABUは2015年12月1日〜3日に首都アクラで開催された「agrofood West Africa」へブースを出展しました。本記事では、上記展示会で行ったマッチメイキングの様子についてお話します。

マッチメイキングというのは、要は、ビジネス界の様々なアクターのキューピッド役になることですが、ABUが様々なネットワークを持っているからこそなせる業でもあります。ここでは、カウンターパートたちがキューピッド役を演じた三つのケースを紹介します。

ガーナの生産者と国内外の企業やファンドをつないだケース

一つ目のキューピッド役の例です。今回の展示会には、イタリア・ガーナ・タイ・中国・ドイツ・トルコ・ナイジェリア・フランス・モロッコなど14か国から40社以上の企業や食品組合が出展していましたが、その多くは食品のパッケージング技術を売りにする会社と、食品を扱う企業でした。

そうした中で、パッケージングを専門とする営業マンが次々にABUブースに訪れ、電話番号などの情報を記帳していきました。また、ABUはガーナの政府組織としては唯一の出展者だったこともあり、多くの中小企業がABUのブースを訪れました。マンゴーの農園や加工に取り組むガーナの業者は、パッケージングの業者を探しているという悩みを話してくれます。その場合、多くのパッケージング企業がすでに連絡先を残していっているので、直ちにそのリストの中から連絡先を伝えてつなぎます。他にも、シアバターの生産業者と国内の輸出業者を引き合わせたケースもありました。

また、最もよくあったものは「自分はこのようなビジネスのアイデアがあるのだが…」という資金サポートを求めてくる農家や実業家のケースで、これらの相談に対してはガーナ政府やドイツ、オランダなどが支援しているプロジェクト、ファンドを紹介しました。

海外の実業家と自分たちのデータベース内の企業をつないだケース

二つ目のキューピッド役の例です。本展示会には、ブース出展はしないものの、情報集めとしてわざわざこの展示会にあわせてガーナに来た各国の実業家や起業家が訪れていました。例をあげると、(1)スペインのベルトコンベア会社の営業マン、(2)ガーナで農業を実践したい韓国の実業家、(3)ガーナで施設野菜栽培に取り組みたいオランダの若い起業家、(4)マリの果物加工業者や流通業者—などで、中にはガーナに全くコネクションのない方々もいました。そのような方々がABUのブースに飛び込んでくるのです。

そうした相手に、少なくとも1000社以上が登録されているデータベースを持っていることをABUスタッフが伝えると、早速名刺交換をさせてほしいといってきます。実は、この名刺はJICAのプロジェクトが支援するまでは持ったことがないABUスタッフがほとんどで、前回のフェア出展をきっかけに皆で揃えたものです。そうした中でいきなり「君の力が必要だ」と頼られることになるのです。中には、後日ABUの事務所で詳しくお話をしましょう、という形に発展するケースもありましたし、ABUが保有している農作物プロファイルに関心を寄せる人もいました。

ガーナの農民グループや中小企業と自らの研修プログラムをつないだケース

三つ目のキューピッドの例はABU自身が結ばれる側になる例です。ABUの使命の一つはガーナの中小アグリ・ビジネス企業の能力強化を行うことです。本展示会ではこれまで企業向けに実践してきた5Sの現場研修とビジネス・マーケティングの研修の様子を、ブース内で写真や映像を用いてPRしました。それを見た企業と農民グループなどが研修について質問してきます。

ある地方の農民団体のリーダーは、ABUが提供する研修の会場費と参加者の交通費を受け持つ代わりに講師を派遣してくれないかと打診してきました。政府側に研修の全費用を出してくれというのではなく、受講者も費用負担を覚悟するという主体性のあるオファーは貴重です。早速、その団体の幹部に模擬の研修を受講してもらい、その後、内容がよければ追加の研修を行うという計画についてその場で交渉しました。

結びに変えて −未来のマッチメーカーとしての自覚−

このように、国内外の人々が交差する舞台となったABUのブース。そこでABUは国内外のたくさんのプレイヤーのキューピッド役を務め、自分たちの役割の大きさ、そしてマッチメーカーとしての可能性を肌で再認識できました。これは3日間の最大の収穫でした。

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3日間で約160の個人と団体がABUブースで記帳

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スペイン企業の営業マン(写真中央)とABU職員

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研修については、ポスターとPC画像でPR

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フェアのWEBの広報記事に掲載されたカウンターパートとJICA専門家

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会場の外に掲げられた巨大ポスター