ジャシカン理数科ワークショップ(身近な素材ですぐに使える授業教材を作ろう)

2016年11月7日

【画像】

数学の授業における小黒板の活用方法について議論する学生たち

氏名:野尻 慎介
隊次:2015年度1次隊
職種:理科教育
任地:ボルタ州ジャシカン
出身県:福井県

2016年11月7日、私の配属先であるボルタ州のジャシカン教員養成校で、理数科ワークショップが開催された。時間割は午前に2回、各1時間の体験型授業を生徒が各教室で受け、午後には午前に受けた授業についてのディスカッションを1時間程度行った。私が赴任したのは昨年の7月で、初年度は1年生の理科を担当した。学生と話をすると知識重視の暗記教育のおかげで教科書の片隅に乗っているようなささいな内容さえ知っていて驚かされることがしばしばあるにもかかわらず、帰納法的思考が非常に苦手である。例えば、「水1立方センチメートルの質量は1グラムである。では、水1立方メートルの質量は何グラムか。」という質問に対し、過半数の学生が「100グラムである。」と躊躇なく答える。また、アリとチョウのスケッチをさせた後で、「アリは体が3つの部分からなり、胸からは3対の足が出ている。このような動物を昆虫という。では、チョウは昆虫か否か。」という質問をすると、何人もの生徒から「チョウは昆虫ではない。理由は羽があるから。」「体が軽くて飛べるから。」などの答えが返ってくる。理由は覚えさせるスタイルの授業が中心で、議論したり考えたりする機会が極端に少ないためであろう。配属先では各教室にグループワークの時の班割り表が壁に貼ってあったり、たまに他の教室をのぞくと班ごとで話し合ったりしているので、ここではそのような授業スタイルも取られているのだろうが、小・中学校や高等学校ではまだまだ旧態依然の授業スタイルが多いと思われる。

ガーナにおいて教員の資格を取得するためには、四年制の大学(University)に進学するか、三年制の教員養成校(Education college)に進学する必要があり、配属先の教員養成校に進学する生徒は将来、幼稚園か小学校あるいは中学校の教員を希望している。(高校教員になるためには大学卒業の資格が必要になる。)彼らは3年生になると近隣の小・中学校で1年間の教育実習が課せられるため、教員として教壇に立つ。その前に少しでも、覚えるだけではない、議論したり考えたりする授業のネタを提供する場を設けたいということで、配属先の全2年生10クラス、総勢約400名の生徒対象に理数科ワークショップに参加する機会を提供した。授業担当の講師は、理数科分科会に属する小学校教育、理科教育の隊員の他、感染症隊員や聾学校で活躍するICT隊員にお願いし計10名。また近隣で活動する隊員5名も見学や撮影・実験補助として参加してくれて、日本人ボランティアの数は総勢15名に膨れ上がった。どの科目も隊員が練りに練った授業構成のために大好評で、「次の開催はいつなんだ。」「○○というボランティアの実験は非常に良かったので、また来てもらいたい。」などという学生からの要望を数多く受けた。ガーナではどの州でも教育系の隊員が増えているので、今後も理数科分科会活動も活発に行われることと思われる。小・中学校の理科の授業でも実験・観察やグループワークをすることが普通になり、「理科を学ぶことが面白い!」と思う小・中学生が一人でも多く生まれることを切に願っている。

【講師(参加ボランティア)とその担当科目】
2014年度4次隊早野(理科−物理Density)、芳賀(理科−生物Flower and their functions)
2015年度1次隊菓子田(理科−化学Acids, Bases and Salts)、野尻(理科−物理Reflection and Refraction of Light)、譜久山(算数The Multiplication Tables, Plane shapes)
2015年度2次隊生田(理科−物理Sound Energy)、伊藤(理科−保健Reproductive System)、濱田(ICT, Input and output devices)
2016年度1次隊牧野田(算数Operations on Fractions)、工藤(算数Fractions)

【画像】

学生の作った花の模型に手直しを加える芳賀隊員

【画像】

密度のグループワークを見守る早野隊員

【画像】

野尻の監督の下、ソーラーバルーンに空気を入れる新隊員3名