Demonstration Lesson Workshop −授業に教材・教具や活動、実験を取り入れよう!−

2017年6月22日

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石を使った10までのたし算の授業(P1:算数)※P1はPrimary1の略で、小学1年生のことです。

氏名:工藤 慎吾
隊次:2016年度1次隊
職種:小学校教育
任地:アッパーイースト州ナブロンゴ
出身県:神奈川県

アッパーイースト州ナブロンゴは、ガーナの北部に位置しています。首都のアクラからバスで15時間かかり、さらに車で10分ほど行くとブルキナファソとの国境です。そのナブロンゴにあるGES(注1)に「小学校教育」隊員として派遣されている私の要請内容は次の3つです。
1.ガーナの実情に合った算数又は理科に関する教具・指導方法を考える。
2.地域内の小学校を巡回し、1.で考案した物を使ったモデル授業を行う。
3.ガーナで活動している他の教育隊員と協力し、地域教員向けのワークショップを行う。

(注1)GESとはGhana Education Serviceの略で、日本でいう教育委員会事務局のようなところです。

ガーナ着任後、首都でのオリエンテーションを終え、ナブロンゴに本赴任したのは夏休み真っただ中の8月。9月から12月までの1学期間は、ガーナの小学校の実態を把握するために、事務所の近くにある2校で登校から下校まで、授業の様子や子どもたちの学校生活を観察することにつとめました。

観察をしていて気づいたのは「多くの先生たちが授業を楽しそうにやっていない」ということ。授業の多くは、先生のトークと子どもとのやり取り、白チョーク一色の板書で行われていました。先生はがんばって子どもたちに教えようとし、子どもたちも一生懸命学んでいます。しかし、楽しそうではありません。ガーナの学校には、日本の学校のように教材を買える予算はほとんどなく、教材を使いたいのであれば自分の手で作らなくてはなりません。教員であっても日本のように十分な給料はもらえず、生活のためには副業をしていることも多いガーナの先生たちに、これ以上時間的・金銭的な負担はかけられないと思い、しばらく悩んだ時期もありました。しかし、先生自身が「授業をすることが楽しい」と思えるようになれば、授業の準備や計画が負担と思わなくなるのではないかと考えました。そこで現在、私は学校を巡回しながら、先生方が少しでも授業をすることが楽しくなり、材料費があまりかからない教材・教具、活動を紹介しています。

要請内容の3点目にあるワークショップについてGESのスタッフに聞いてみると、講義やディスカッション中心の新規採用者向けの研修や管理職向けの研修は行われているが、一般教員向けの授業公開や指導法・指導技術などを具体的に学ぶ研修は実施されていないということでした。そこで今回は、教材・教具を活用したり、児童中心の活動や実験を取り入れたりした授業の紹介を行い、現地の先生の授業改善の意識を高めるきっかけとしたいと思い、理数科分科会(注2)がタイアップして年2回程度行っているワークショップをナブロンゴで開催することを提案しました。

(注2)『理数科分科会』とは、ガーナに教育関係の職種で派遣されていて、希望する隊員で構成されている組織です。ワークショップの開催時点での会員数は13名。ワークショップの他に、年に3回程度の「定例会」で情報交換や活動報告をしたり、隊員同士で授業を見合って活動の参考にする「授業交流会」を開催したりしています。

"Demonstration Lesson Workshop"という名前をつけ、ガーナの先生にもワークショップの内容がわかりやすいように工夫しました。同じ授業を6月1日と2日の2日間、別々の小学校で行い、現地の先生には自分たちの学校から近い方に参加してもらうことにしました。テーマは"Let's introduce TLMs, activities and experiments in our lesson!(授業に教材・教具や活動、実験を取り入れよう!)"として、 理数科分科会の会員を中心とした隊員がナブロンゴに集まり、そういった工夫を取り入れたモデル授業を行いました。ナブロンゴの先生にとっては、様々なJICAボランティアの創意工夫あふれる授業に触れられる、せっかくの機会です。理数科分科会に所属していない近隣の隊員にも協力を依頼し、理科や算数だけでなく、ICTの授業も実施することができました。

見学者を含めて20名の隊員が集まり、2日間合わせて239名の現地の先生が参加してくれました。参加者のアンケートを読んでみると、多くの先生に「教材・教具や活動、実験を授業に取り入れてみたい」に思ってもらえたようです。私の任期は残りの9か月ですが、後任のボランティアにも引き継ぎながら、そういった先生方が楽しく授業ができるようなサポートをしていきたいと思います。

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フラッシュカードや歌で体の部分の名称を覚えよう(P1:理科)

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せん抜きや木の棒で『てこの原理』の便利さを学びます(P2:理科)

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音楽はガーナでは”Creative Arts”という教科で扱います(P2:Creative Arts)

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教育隊員だけでなく保健隊員も参加してくれました(P3:理科)

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ゲームで児童の興味・関心をひきつけて筆算の授業につなげます(P3:算数)

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『1kgになるように土を持ってくる競争』を通して量感を身に付けさせます、(P4:算数)

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授業で使う磁石はイヤホンやスピーカーからも取り出せます(P4:理科)

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水に溶けるもと溶けないものを実際にやって確かめます(P5:理科)

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紙でコンパスを作り多角形を書いてみよう(P5:算数)

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ガーナではマラリアやコレラなど感染症の予防も理科で学びます(P4:理科)

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どこでも手に入る釘とワイヤー(導線)で電磁石を作ります(P6:理科)

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ペットボトルを記憶装置に見立てて記憶容量の違いを実感させます(P6:ICT)

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2日目の会場校の校長、GESスタッフ、ボランティアで記念撮影