World AIDS Day workshop報告-AIDSの終焉を目指して-

2017年12月31日

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感染する?しない?カードアクション。

氏名:菊地 崇浩
隊次:2016年度2次隊
職種:感染症・エイズ対策
任地:アシャンティ州アゴゴ
出身県:東京都出身

12月1日は世界エイズデー。その日に合わせて2016年度2次隊の感染症・エイズ対策隊員3名が中心となり、保健分科会のメンバーでワークショップを開催しました。

開催目的として、AIDSの知識を深め、感染予防方法を知り、PLwHA(People living with HIV/AIDS)に対する差別、偏見をなくすことを掲げて臨みました。2つの任地(アシャンティ州アゴゴとボルタ州ぺべ)の地元中学生を対象とし、内容はHIV/AIDS講義、ディスカッション、レッドリボン作りの3部構成にしました。特に意識したのはガーナではあまり見られないアプローチ方法で、HIV/AIDSを自分事として考えさせる事です。

ガーナの教育は一般的に教師から生徒への一方通行の教育で、正解を丸暗記させるような単調な授業が多いという話を、教育系隊員からよく聞きます。また、ガーナでは一般的に南部はクリスチャンが多く、北部にはムスリムが多く暮らしています。いずれも宗教上あまりコンドームの使用は推奨されてはおらず、学校でコンドームの使用方法を教えることはほとんど見られないというのが現状です。また日本でもそうですが、それが青年期の性交渉を勧めることになるという考えを持つ人も少なくありません。しかし、実際学生を含んだ多くのガーナ人がコンドームを使用しない性交渉によりHIVに感染しています。

今回のワークショップでは、コンドーム使用のデモンストレーションと、HIV陽性者のインタビューを聞き、それについて考えるディスカッションを取り入れました。インタビューは事前に私が勤務しているART外来(HIV治療外来)のHIV陽性者の方にインタビューを行い、プライバシー保護のための加工編集をして、現地語で録音し直したものです。いずれの学校でも生徒たちは静かにインタビューを聞いていました。しかし、やはりディスカッションとなると模範的な回答をいう生徒が目立ち、なかなか自分ごととして落とし込むのには苦戦しました。手を握るだけ、一緒に食事をするだけでは感染しない、とわかっていても、いざ自分の友人が大切な人が感染したとわかったとき、もう話さなくなると思う、付き合っていたら別れるなどと答える生徒も少なからずいました。そこで、もし自分が感染したとして、周りにどう接して欲しいかを考えてもらいました。そこで黙ってしまう生徒も多く、ファシリテートする隊員も困難を感じているようでしたが、今まで考えたことのないことを考えさせる機会になったことは確かであるし、彼らの心に少しでも何かを残すことができたのではないかと思います。

HIV感染症は治療によりコントロール可能な慢性疾患と位置付けられるようになりました。AIDSは死の病気ではなくなったのです。しかし、ガーナでは依然多くのHIV感染者がAIDSにより亡くなっています。AIDSの終焉を迎えるために私たちが一番に戦うべきなのは、もはやウイルスではなく、ヒトの中に潜む見えない“何か”なのだと思います。

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ぺべでの集合写真

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コンドームの付け方デモンストレーションを真剣に聞く生徒たち

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みんなで最後にレッドリボンを作りました

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アゴゴでのワークショップに参加した保健隊員8名