音楽学校での任務を終えて

2018年3月9日

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合唱本番!

氏名:谷内 唯磨
隊次:平成28年度1次隊
職種:青少年活動
任地:セントラル州ムザノ
出身県:埼玉県

私の任地ムザノは小さな町ですが、音楽学校があるためいつもどこからか楽器の音色や歌声が聞こえてきます。人々もそんな町の特徴を反映するかのように朗らかで、陽気です。その音楽学校で活動することになったのが約二年前。帰国を目前に控え、色々なことが思い返されます。

まず、ガーナに来てすぐに任地が変更になりました。新たな派遣先が音楽学校だと聞いたときはとても不安でした。楽器の演奏経験はあるものの、音楽は私にとって趣味に過ぎなかったからです。

学校には既に複数の音楽教員がいたのですが、どの先生も音楽の知識が豊富でした。自分の能力不足を実感し、日本から音楽理論のテキストを取り寄せ、必死に勉強しました。その後ようやく一年生の授業を受け持つようになったのですが、授業数も少なく、充実とは程遠い日々でした。

活動が軌道に乗り始めたのは一年たってから。高校が無償化になり、新入生が大幅に増えたのです。おかげで私の授業数も3倍に!通常授業とは別によさこい祭の練習も始めました。

「よさこい祭」というのは毎年首都で行われる、日本文化の紹介イベントです。その名の通りよさこい踊りがメインですが、そこで合唱を披露することになりました。

本番一か月前からは本当に大変でした。それまでのペースでは本番に間に合わないだろうと、ほぼ毎日、早朝4時からの練習になったのです。もちろんガーナタイムの生徒たちが集合時間に来るはずもなく、結局生徒が集まるのは6時。生徒が来るまでの2時間を教室でひたすら待ちます。不満と焦燥感ばかりが募っていきました。

ある日そんなイライラがピークに達しました。集合時間には遅れてくるくせに、終了時間になると「もう時間だ。」と言い始める生徒たち。「オーケー、そんなにやめたいならやめよう。」と言い放ち、生徒を放って帰宅してしまいました。しばらくして生徒が家まで恐る恐る呼びに来たので、相当不機嫌だったのが伝わったのでしょう。今となっては、すべてが良い?思い出です。

そんな苦労の甲斐あって、発表は大成功でした。演奏したうちの一曲は、「花は咲く」という曲。東日本大震災の復興支援ソングです。歌に祈りを込めてほしかったので、震災についての学習も行いました。演奏後、多くの方々に「とても感動した」と声をかけていただきました。涙ぐみながら彼らの歌声を聴いてくれていた人もいたようです。

一番印象的だったのは、被災地出身の男性に言われた「ありがとう。勇気をもらいました。」という言葉です。「生徒たちの想いが届いたんだ」と感じた瞬間でした。

この二年間で現地の人の役に立てたという実感はあまりありません。でも、生徒たちには多少なりとも良い経験をさせられたと思います。アニメやJPOPなど、サブカルチャーから日本を好きになる外国人がいるように、これから先、日本に興味を持つ生徒も出てくるかもしれない。そういう意味では音楽にはアドバンテージがあります。今後も継続して隊員が派遣され、本校の生徒の演奏がよさこい祭での名物になれば良いと思います。

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授業風景

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一年生が増えすぎて教室はぎゅうぎゅう

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本番当日の朝

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みんなに見送られながら出発

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この一つ一つが教室です。