聴覚障害をもつ子供たちの困難に寄り添って

2018年4月1日

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学校創立40周年で記念パレードをしました

氏名:八野 翠
隊次:2015年度4次隊
職種:障害児・者支援
任地:アシャンティ州ジャマシ
出身県:奈良県

(八野隊員は2018年3月に帰国済みです)

こんにちは、今回は私の活動内容について紹介させていただきます。
私の任地は首都からバスで7時間ほど離れたところにあるアシャンティ州ジャマシという町です。私はここでろう学校の小学4年生~6年生にICTという教科でパソコンの基本操作を教えています。
ガーナでは小学校からICTが必修科目なのですがICTを教えることができる先生はまだ少なく、学校にパソコンがない、停電で使えないなどの理由で多くの先生は教科書を黒板に写し生徒にノートを取らせるだけというスタイルで授業が行われています。

ところで皆さんがろう者、聴覚障害者と聞くとどんな問題があると思いますか?ろう者、聴覚障害者とはご存知のとおり耳が聞こえない(もしくは聞こえにくい)という障害を持っている人です。私はこの学校で活動を始めるまで、耳が聞こえないなら筆談すればいいやん、と思っていました。でも彼らが直面する困難は聞こえないことだけではないとガーナに来て初めて知りました。
人間は幼い頃から周囲の人の会話を耳にして育つうち言葉を覚え、次第に会話ができるようになります。しかし生まれつき耳の聞こえない人は会話が聞こえないので自然に言葉を身につけることはできません。現地語であるチュイ語もガーナの公用語である英語も知りません。手話も家族や友達に手話を使う人がいなければ知りません。ガーナの場合、多くは学校に入学して初めて言語(英語や手話)を習うので習得には時間がかかりますし、大人になっても英語が苦手な人は多いです。そんな言葉を習い始めたばかりの子供たちが教科書を書き写しただけの授業で内容を理解できるでしょうか?

そこで私が行った活動は主に以下の2点です。
1.授業では実技を中心に、パソコンが使えない時は視覚教材やTLM(学習指導教材)をたくさん使って楽しく分かりやすい授業をすること。
2.手話を学ぶためのツールを作ること。

1について、赴任当初は私自身ガーナ手話が分からなかったため、生徒に対して十分な説明ができず難しかったです。また生徒がパソコン室に入れた嬉しさで興奮し騒ぎだしてしまってクラスコントロールができなかった時もあり、もう授業をしたくないと思ったこともあります。それでも子供たちはパソコンへの関心が高く興味を持って授業を受けてくれました。生徒が「分かった!」「できた!」という時の嬉しそうな表情を見るともうちょっと頑張ろうと励まされました。キーボード配列を覚えるためのアルファベットカードを利用したグループ対抗戦や、パソコン周辺機器の名前当てクイズなどはとても盛り上がった授業のひとつです。

2について、「Let’s learn to Sign」という手話辞典の動画を作りました。全部で10のトピックに分け、同僚や生徒と協力して日常生活や会話でよく使う言葉や文章を選びました。
対象と考えていたのは入学して間もないまだ手話を知らない子どもたちだけでなく、ろうの子どもを持つ両親・家族です。ほとんどの親や家族は手話が使えないので、子供たちは家族とのコミュニケーションが十分にとれず孤立しがちだからです。
しかし、出来上がった動画を様々な生徒に見せたところ、みんな一斉に手話を練習し始め、文字(英語)の意味を確認し合ったりしていました。初めに対象と考えていた人だけでなく、どんな人にでも活用できるものができたと感じました。
今後、手話の授業や両親に向けてどんどん活用してもらい、ろうの子どもたちの言語習得の助けになり、また両親が手話を覚えることで家族間のコミュニケーションが取れるようにと願っています。

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キー配列について

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アルファベットのカードの並び替えゲーム

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パソコン室で実技レッスン中

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「Let's Learn to Sign」の一場面

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全寮制なのでご飯もみんな一緒