理科実験に興味を持つ“きっかけ”作りにトライした日々

2018年5月15日

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蒸留の実験の実演。アペテシ(地元のお酒)から純度の高いアルコールを分離

氏名:坂井 達也
隊次:2016年度2次隊
職種:理科教育
任地:ボルタ州ぺべ(トパリメ)
出身県:東京都

私の任地はボルタ州サウスダイ郡のトパリメという場所です。ここは首都から車で3時間ほどの場所ですが、各家庭には水道はなく、生活の大部分を雨水で賄っています。ガーナの中でも比較的に田舎のエリアであると私は感じています。そんな私の住む家も水道はなく、トイレも地面に穴が空いているのみ。日本では、雨はあまり好きではありませんでしたが、しかし、ここでは雨は水が手に入る恵みの雨、そのため雨が降ると毎回とても嬉しい気持ちになります。

このような環境の中、私は郡の教育を管轄している教育事務所に配属されました。そして、活動の中心となる中学校にて、現地の理科の先生と一緒に理科の授業を行い、教師の指導力を向上する・子供たちの理科への興味を引き出すという要請のもと、活動を行う事となりました。私はこの地域の初代ボランティアという事もあり、赴任当初はこの地域の教育状況を把握するために、授業の観察を主に行ってきました。その結果、特に際立って目に留まった現状が、学習カリキュラムで必須となっている理科実験を行うための教材が十分になく、実験もほとんど行われていないという事です。そのため、子供達は教科書に記載されている実験方法とその結果を丸暗記するという授業スタイルが取られていました。

私自身、これまで教師としての教育経験がなかった事もあり、この土地で自分に何ができるか悩み・考えました。学生時代に実験を通して科学を学び、卒業後、もの作りを行う民間企業にて技術職として機器の分析・性能評価などを実施するなど、実験を行う環境の中でこれまで過ごしてきました。この経験を生かそうと、活動の軸を、
1)実験教材作りを行い・実験方法を考え・実験を実施する事
2)これらの情報を現地教員に共有する事
と設定し、この活動に注力することにしました。実験教材作成の上で特に留意した点が、現地の先生も作成ができるよう、なるべく現地で手に入る材料のみで実験教材を作成する事です。加えて、「限られた環境でも、できる実験がある事を伝えたい」という想いを持って活動を行ってきました。

実際に様々な実験教材を作成し、実験を行いました。例えば、コンパス(磁石)、ピンホールカメラ、ソーラークッカー、蒸留の実験道具、熱気球、紫玉ねぎから作成する指示薬の作成などです。これらの活動はメインの中学校だけでなく、空き時間に近隣小中学校を巡回し、巡回先での理科実験の実施や現地教師への実験教材の共有なども行ってきました。加えて、情報を共有する・記録に残すという意味で、実験教材の作成方法と実験方法について記載した理科実験マニュアルの作成を行い・配布する活動も行いました。

実際、私のこの活動は結果が見えにくい事もあり、意味のあるものか不安になるときもありました。しかし、教材を紹介した翌日に、自ら教材作りに挑戦してくれた先生がいたときや、生徒が自作のペットボトルロケットを私の家まで持ってきて、「飛ばしてみて」と言ってきてくれたときなど、少なからず実験に興味を持ってくれた先生や子供達がいることを実感できる機会がありました。このような経験を通し、実験教材を作ってみよう、実験をやってみようというわずかな気持ちの変化を先生に、そして理科の勉強って楽しいと感じるきっかけを子供達に与えることができたのかなと思います。

私の残りの活動期間もわずかとなりましたが、この実験に対する前向きな雰囲気が少しでも長く継続してくれるよう、彼らと過ごす残りの時間を大切にしていきたいと思います。

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紫玉ねぎから作った指示薬 ピンクが酸性、黄色が塩基性

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中和反応を実施後、蒸発により塩を分離

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ペットボトルロケットを用いた空気の性質について学ぶ授業

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熱気球を黒のポリ袋で作成

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近隣中学の先生達にピンホールカメラの作り方指導中

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実験教材を実際に現地の先生に授業内で使ってもらう(電気回路)