男性を巻き込む参加型/体験型健康教育!-ガーナで妊婦体験ジャケット-

2018年9月15日

【画像】

【妊婦体験】地面に座ることでさえ大変なんだと知った男性たち

ボランティア氏名:鈴木 瞳
隊次:2016年度2次隊
職種:保健師
任地:アッパーウエスト州ジラパ郡
出身県:愛知県

私の任地は、ガーナ最北西部に位置する貧困3州のひとつ、アッパーウエスト州にあります。一年のほとんどが乾季であり、特に生活水準が低いと言われる地域です。人よりヤギの数が多く、水は井戸から汲み上げ、日中気温は40度以上。野生動物も犬も毛虫も食べる。私の任地はまさに思い描いた「アフリカ」そのものでした。

サンサンと照り付ける太陽の下、日々バイクに乗りながら「母子保健の質の向上」を目指し、駆け回る日々。その総走行距離、なんと9000キロ!(北海道—沖縄間を一往復できてしまう距離です)
その中で、2年間を通して取り組んだテーマは「男性参加促進」です。

私の任地は、男性を中心として地域社会が成り立っており、家族の中でも夫がすべての決定権を握っていることが多いことに気づきました。夫の理解なしでは、妻は病院にもいけず、物を買うことすらできません。料理、洗濯、家事、育児、すべてが妻の仕事です。しかし、私たちの保健サービスを受けに来るのはいつだって母と子だけ。母と子の健康のためには、保健サービスの質の向上以上に、夫の理解・協力が必要と知り、コミュニティ全体を巻き込んだ活動をスタートさせました。

人々の行動や意識を変える、短期間では成果の出にくいことにアプローチするため、心掛けたことは「参加型/体験型健康教育」です。一方通行で興味を持ちにくい従来のやり方を変え、「楽しく学び、みんなで考える!」をモットーに、同僚たちと魅力的なプログラムを企画。寸劇や調理実習、血圧測定サービスや健康体操など、実践や体験でもって学ぶことができるようにし、コミュニティ全体の健康意識が高まるよう工夫しました。

その一例が、「妊婦体験ジャケット」です。これは、私が日本で保健師をしていたときに担当した保健サービスのひとつでした。男性が妊婦の擬似体験をすることで、妊娠中の大変さや協力の必要性を学ぶことができます。既婚の中年男性も、独身の若い男性も、四苦八苦しながら妊婦体験をする様子に、女性たちからなりやまぬ拍手が贈られました。(体験した男性は一躍地域のヒーローに!)体験のあとは、ディスカッション。普段女性たちが言いにくいことを保健スタッフが拾いあげ、コミュニティ全員で話し合います。男性、女性、それぞれが色々な想いを伝えあい、ともに解決策を練りました。

活動のなかで心掛けたことは「主役はガーナ人」ということです。何事においても決して独りよがりの活動にならないよう気を付けました。人々の想いに沿った活動が、人々によって継続していくことを目標に、つねに主役は誰かということを忘れずに活動しました。

さまざまな健康課題を地域全体の問題として話し合えたこと、そして、同僚だけでなく地域の実力者や教育関係者を巻き込めたことは大きな成果でした。参加人数は4000人を超え、妊婦検診や乳児健診などの保健サービスに付き添う夫の数が大きく増えたことにより、他の郡や地域にも広がる活動となりました。

現地訛りのガーナ英語や働き方、考え方の違いに悩んだこと、衝突したこともありましたが、ガーナ人から多くのことを学び、優しさに支えられた笑顔溢れる2年間でした。現地の人々と同じ生活水準で過ごし、人々に寄り添って、同じ目線でものごとが見れたこの経験は、保健師としても、一人の日本人としてもたくさんの学びがありました。ガーナのさらなる発展を心から願っています。

【画像】

子どもを背負いながら料理。女性の仕事の大変さを痛感。

【画像】

体験する男性たちへ、女性たちから拍手喝采!

【画像】

【ディスカッション】地域住民みんなで話し合います。

【画像】

【調理実習】女性の仕事である料理に男性を巻き込み、楽しく学ぶ!

【画像】

【男性参加】妊婦検診に付き添う男性が増えました。