歌って伝える保健教育 -現地の人と・現地の文化で-

2019年3月21日

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現地語健康歌集

ボランティア氏名:上野 真理恵
隊次:2017年度1次隊
職種:学校保健
任地:グレーターアクラ州アダフォア
出身県:福島県

アチェミケ アマキ。モノ イマ トゥムニュ マラリア。(私の名前はアマキです。今日はマラリアについて話します。)

心臓がドキドキする月1回のラジオ番組。打合せは1分で終わるガーナ人MC。簡単なメモを見終わりMCと談笑しリラックスする同僚。その横で用意した原稿を何回も何回も見直し一言一句確認する冷や汗気味の私。

Radio -Ada-チュクチャカラ- 93.3FM-

いよいよ始まった。英語と現地語を交えたヘルストークと健康歌の紹介。話すしかない!歌うしかない!言葉につまったらきっとガーナ人が助けてくれる!

そんな緊張と安心感に包まれながら取り組んできた活動のひとつを振り返ります。

私は教育事務所に配属され、主に小学校を巡回しながら学校保健活動の推進に携わっていました。学校保健の大きな3つの柱は、保健教育、保健管理、組織活動です。日本の学校現場で養護教諭として働いてきた自分が、人材や物資面にチャレンジを抱えるガーナでできることは何なのか活動当初とても悩みました。悩んだ分、学校や地域を動き回り様々な人と関わるようにつとめ、そんな中で感じた大きな課題は、保健教育が十分ではないということです。ガーナでは、健康に関する題材は、理科等に組み込まれており、日本のような全教科横断しての系統立った保健教育と比べ子どもたちが健康について学べる機会が多くはありません。また、家庭や地域における常日頃からの保健教育が不足しており、学校外での日常的な子どもへの指導の必要性を感じました。

そこで、ガーナ人の大好きな「歌」を通した保健教育の推進を活動のひとつに設定し、健康歌作りを始めました。現地語の先生や、教会で歌うのが大好きな近所のおばあちゃん、娘の子育て中によく歌う同じ家に住むお母さん、誰でも私にとって先生です。

既にあるものをアレンジした歌と新しく出来上がった歌の計8曲(手洗い・水の衛生・環境衛生・マラリア・身の回りの清潔・栄養・歯の健康・救急処置)は、地域のラジオ番組で定期的に紹介するとともに、現地業務費を活用して歌集を製本し、学校へ配付・指導を行いました。地域を巡回してヘルストークを行う際にも住民と一緒に歌い、歌が大好きなガーナ人がその場でノリノリで歌う姿に日本との違いを感じ、現地の文化や良さを伸ばすことの大切さを実感しました。

保健教育の推進に興味のあるガーナ人と出会って始まったラジオ番組は、毎回緊張の連続でした。しかし、地域住民は、外国人である私がラジオで現地語を喋って健康歌を紹介するととても喜んでくれ、街でよく声をかけられラジオの話になりました。学校でも私の姿を見て歌ってくれる子どもがいて、学校・家庭・地域全体での保健教育を充実させるという目的が少しは達成できたのかと感じられる瞬間でした。

歌を歌うだけでは、健康行動には直結しません。それでも、「幼少期から家庭で健康について教える」「学校で先生みんなが健康について教える」そのような日常的な取り組みが、将来に繋がる知識と行動を作っていくことを願って、これからも老若男女問わず歌い継がれていってほしいです。

ガーナで過ごした1年と9カ月。赴任当初、先が見えず悩み苦しかったです。それでもとにかく“ガーナ人とともに過ごす”ことを大切にしたことで、彼らと共有する時間が教えてくれたことがたくさんありました。寄り添う姿勢をこれからも忘れずに、日本の学校現場に活かしていきたいと思います。

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手洗い歌のページ・写真を追加し見せる教材としても使えるように

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ローカルラジオ番組

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学校での保健教育

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健康歌集の活用(現地語の授業での音読)

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健康歌集には救急処置マニュアルを追加。教員、児童への指導を通して保健管理面の強化