ヒューマンストーリー

ガーナの小学校より

JICAガーナ事務所
2011年度インターン 山口裕樹

【写真】

理科の授業で実験を行う山本隊員と子どもたち

2011年9月から11月にかけて行ったガーナ事務所でのインターンシップの一環として、理数科教員として活動する山本隊員の授業を視察しました。山本隊員は現職の中学校教員で、青年海外協力隊の現職教員制度を利用してガーナに来ました。1年前よりAkatsi州の小学校を巡回し、授業を行っています。Akatsi州の小学校は全部で99校あり、今回はその中の一校である「AKUAVE小学校」にて、小学5年生と6年生を対象とした理科、算数の授業が行われました。

授業開始前、山本隊員が教室に入っても、初対面のためか子どもたちの表情は緊張気味です。その空気をほぐすかのように、山本教員は「ありがとう」、「すごい」という日本語をまず子どもたちに教えてコミュニケーションを取ります。生徒の顔は次第に笑顔になり、その後の授業中もたびたび「ありがとう」「すごい」という言葉を使って生徒と参加型の授業を作っていきます。ガーナでは講義型の授業が一般的で、生徒は先生の話を聞くだけの受動的な授業になることが多いということですが、こうした山本隊員の工夫が、生徒をみるみる授業にひきこんでいくのです。

45分間×2コマの授業、生徒たちの瞳は、目の前の新しい学びにまっすぐでした。ガーナでは、日本の学校のように資機材が揃っていないため、当日の理科の授業の実験で実験器具が一セットしかなく、山本隊員が生徒を一人だけ指名して実験をしてもらっていましたが、途中から子どもたち全員が積極的に前に出てきて共同で実験に取り組む姿が見られ、最終的にはみんなで取り組む子供たちの姿が印象的でした。また、授業で使用しているストローを用いた実験器具は、過去の協力隊員から受け継がれているものです。

授業後の山本隊員とのお話では「現地の先生にも子供たちにも、違う価値観に触れることで、新しいものさしを作ってほしい」ということをうかがいました。私は今回のインターンシップを通して、国際協力とは「モノ」や「カネ」を与える(=提供する)のではなく、途上国の人たちがオーナーシップを持ち、それをサポートする形が望ましいのではと考えてきましたが、そのためには、今回で言えばガーナとは違う日本の教育に触れる「機会を提供する」ことが重要であることを改めて感じた、そんな授業視察となりました。

「喫緊の課題は、生徒たちへ授業を教える先生たちへの研修です」と山本隊員はおっしゃっています。どのように授業準備を行えば良いか、また、どのような教材を使って生徒の関心を引き出せるかなど、山本隊員は自らの授業を見せることで先生たちに何らかのヒントを示すことができるのではと考えています。今回の山本さんのような協力隊員の活動によって、ガーナの教育が少しずつ改善されていくことを願っています。