小学校算数教育の質向上までの苦悩

2018年12月18日

隊次:2016年度(平成28年度)1次隊
派遣国:グアテマラ
職種:小学校教育(算数)
任地:ソロラ県サンタマリアビシタシオン市
石橋 夏希

心にあった、問いと不安と少しの期待

私は、算数教育の質の向上を大目標として2年間任地で活動しました。この大きな目標に対して、「私に何ができるか」という問いは、派遣前から心の中にありました。私は、大学卒業後すぐに、協力隊として派遣されたため、「豊富な知識や経験もないし、私には何もできないんじゃないか」という不安も問いと同時に心にありました。そんな問いと不安と「それでも、何かできる気がする」という期待感を持ちながら、大学卒業3か月後にはグアテマラへ飛びました。

で、何すればいいんだ・・・?

協力隊では「これをやりなさい」と課されている仕事がありません。与えられているのは、「任地の小学校算数教育の質向上」という目標です。「で、何すればいいんだろう?」という疑問が、任地赴任後にわきました。 目標達成のためには、1)国定教科書の普及と定着、2)教師の授業力の向上、3)子どもの学力向上が大事な要素だと考え、これらを大きな目標を達成するために必要な3つの小目標としました。小目標が決まると、活動も自然に定まっていきました。このように大きな目標を達成するためにまずは小目標を立て、小目標を達成できる具体的な活動を決める、そして決めたことに取り組む、という一連の過程を2年間で経験したことは、協力隊を通して得た学びの1つです。

2年間心がけていたこと:既に持っているものを伸ばす、褒められるところを最大限褒める

最初の半年間は現状把握のために授業観察をおこないました。日本の教育水準をあたりまえの水準として、グアテマラの教育をみると、どうしても「できていない」ところが目につきました。例えば、「先生がかけ算を暗記していない」「黒板に先生独自の割り算っぽい数式が書かれている。(誤った知識を子どもに教えている)」「1年で教えるべき内容を、教えきれない。」など、です。こうした現状を目の当たりにして、“一体ここからどうしたら子どもの学力が向上するだろう(算数教育の質が向上するだろう)”、と悩みました。
このような現状を目にするとつい出来ていないところを指摘したくなりました。また、指摘したほうが、目標を達成できるような気もしました。しかし、それではお互いが心地よく「任地の小学校教育の質向上」という共通の目標を目指せないと思いました。そこで、私は様々な活動に取り組む中で「一人ひとりの先生が持っているものを伸ばす、褒められるところを最大限褒める」ことを心がけるようにしました。

目標に対してどれだけ貢献できたか、客観的に評価するために実施したのが市内全校を対象とした学力テストです。このテストを2年連続、学期末におこないました。1年目と2年目の学力テスト結果を比較すると、1年生の平均点は66点から88点に、3年生の平均点は18点から48点にというように市内全体で算数学力の大きな伸びが見られました。私は子ども達に直接指導はしていません。先生達の日々の授業の成果です。先生達にとって、大きな自信につながる結果となりました。また、先生達への指導の仕方など手探りの中活動に取り組んでいましたが、「褒めて伸ばす、というあなたのやり方、それでいいよ。」と結果が伝えてくれるようで私も嬉しい気持ちになりました。

今は、発達障害をもつ子どもと関わる仕事をしています。今でも、グアテマラにいた時と同じく、「一人ひとりがもっているものを輝かせる、褒める」ことを心がけています。変わったことは、グアテマラにいたときよりも、その言葉により大きな確信を持っていることです。この言葉に確信を持たせてくれたグアテマラでの協力隊経験に心から感謝しています。

【画像】

【画像】