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2017年度8月「開発教育指導者研修(実践編)」レポート!(後編) 〜「難民」「イスラム」「教育」の国際協力のプロから話を聞く〜

2017年8月15日

—開発途上国・国際協力の現場から、子どもたちに伝える意味—

参加者からの発表の様子

2017年度8月「開発教育指導者研修(実践編)」、第2日目の午前中は、前日に作成したテーマ別授業骨子について、なぜ(Why)、何を(What)、どのように(How)学び、子どもから何を引きだしたいのか、という観点で、グループ毎に発表を行いました。

それぞれの発表では、「多様な価値観・文化・習慣があることを受入れ、互いに良さを認め合い、受入れることのできる力」、「身近な暮らしの中から、世界とのかかわりや、共通する諸問題を多角的に見る力」、「地域、国家、地球社会の一員として、地球上の諸問題・課題を自分事として捉え、主体的に考え、継続的に行動できる力」を育てていきたいといった教員の熱い思いを感じることができました。

「難民」「イスラム」のグループでは、限られた授業時間で「正確な知識を伝える」ことと、「ジブンゴト」としてとらえてもらう工夫をいかにするか、議論がなされました。
教育のグループは、小学校の先生が中心で「学校教育の価値を子どもが気づく授業」を考えました。
国際協力のグループは、SDGsの様々な課題がある中、東日本大震災のときの海外からの支援を切り口に、国際協力の意義を考える案を議論しました。

トークセッションの様子

午後からは、国際協力の最前線で活躍される3人の登壇者を交え、「開発途上国・国際協力の現場から、子どもたちに伝える意味」と題して、トークセッションが行われました。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)からJICAに出向中の高嶋由美子氏からは、難民支援に長く関わる中、難民から多くを学び、難民のことを如何に伝えるかについて、ご自身の実体験などを織り交ぜながら、ご紹介いただきました。難民とはどのような人たちを言うのか、またその人たちを囲む環境はどのようなものなのか、私たちには何ができるのか、そしてそれらをどのように子どもたちに伝えていかなければならないのか・・・など、示唆に富むお話でした。これからの難民支援は「してあげる」関係から「いっしょにする」関係へ変わることの必要があること、また、難民の方々を「集団」としてではなく、同じ「一人の人間」として捉えることが重要と語っておられるのが印象的でした。

JICA国際協力専門員の國枝信宏氏からは、「アフリカの人々から学ぶ地域参加による教育開発」と題し、國枝氏自身が長年関わってきた「みんなの学校」プロジェクトの経験を通じて、ご紹介いただきました。経済的に貧しい国であっても、未来を創る子供たちに対する教育への思いは日本と同じ。プロジェクトを通じ、地域と一体で学校を整備し、活性化させる仕組み作りに貢献される中で、改めて「国際協力」とは何か?参加者に疑問符を投げかけました。また、アフリカの最貧国といわれるニジェール国において、保護者が子供の学校教育に対し、日本の3倍にあたる金額を協力している様子なども紹介がありました。価値観が異なる国や人が共に生きていくために、「互いに学び合う姿勢」が如何に大事か、改めて大切な気づきをいただきました。

JICA東京職員/現代イスラム研究センター研究員の小松大輔氏からは、テロや戦争などメディア報道により、負のイメージが強くなってしまっているイスラムについて、お話をいただきました。人口16億人、訪日者数が急激に伸び、学校現場にイスラムのお子さまがちらほら含まれるなど、「隣人」となりつつあるも、多くの日本人にはまだ遠い存在のイスラム。人は、知らないものに対し、恐れや偏見をいだきがちとのことで、イスラムの行動様式・習慣の違いなどをコーランの内容等から掘り下げて説明がありました。そして、互いに無理なく共生していくためのヒントや、イスラム圏の人々が日本の技術・文化に尊敬の念を持っていることなどの紹介もあり、イスラムがぐっと身近に感じられる機会となりました。

JICA制作映像教材(1.イスラム、2.難民、3.国際協力、4.教育)イメージ

トークセッションで学校教育への期待や現在のキャリアのきっかけなどを聞いた上で、参加者の教員方は、改めてテーマ別グループで、授業を行う上での新たな気づきや学びについて、話し合いました。

最後に研修の総括として、藤原孝章氏からは、「開発教育の意義についての問いの継続性」、「教師としての実践的成長」、「社会に開かれた学び」の3つの点を強調し、引き続きの国際理解教育/開発教育の実践に取り組んでいただきたい、と参加者の方々を鼓舞されました。熱意ある参加者の皆さまと共に、実りある学びの場となりました。

参加者の方々は、この後、それぞれの教育現場で授業実践計画を立て、授業実践を行う予定です。2018年2月に開催予定の後半研修では、再び一同集まり、その授業実践の共有・報告・意見交換が予定されています。再会の日が今から楽しみです! (一部、公開プログラムを予定しており、詳しくは別途HP等でご案内します。)

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