お知らせ・トピックス

JICA主催公開セミナー「世界とジブンをつなぐ教育 ~映像教材による対話型授業事例~」が開催されました

2018年3月6日

冒頭挨拶を行う広報室長/地球ひろば所長天田聖氏

2月24日(土曜日)、JICA地球ひろば主催公開セミナー「世界とジブンをつなぐ教育 ~映像教材による対話型授業事例~」を開催し、文科省、教育行政官、小・中・高校の学校教員、大学生、教育関係者等、約100名近くの方にご参集いただきました。

大津和子先生による基調講演「私の歩んできた道 ~バナナからSDGsへ~」

北海道教育大学名誉教授、大津和子先生

前半、基調講演では、今年度JICA理事長表彰、国際協力感謝賞を授賞された北海道教育大学名誉教授、大津和子先生より、「私の歩んできた道 ~バナナからSDGsへ~」と題して、ご講話いただきました。新米教員時代に直面した、授業を出ていく生徒や差別問題などへの教室での苦戦の日々。その後、身近な食べものからスタートして南北問題や消費者と生産者との関わりなど、現代の社会と人間に関する問題を深く掘り下げる様々な授業の展開に取り組まれました。こうした現場での授業実践を土台に、その後は国際理解教育・開発教育の理論構築に励み、後に続く教育関係者へ、国際理解教育・開発教育の道しるべを示してこられました。SDGs「持続可能な開発目標(2016-2030年)」が出された今、SDGsに根差したESD「持続可能な開発のための教育」の授業実践力向上に向けた教育への探求はこれからも続きます。世界とのつながり無くしては社会が成り立たない程、私たちの日常生活のあらゆる側面にグローバル化の影響が及んでいる昨今、こうした大津先生の長年に亘る国際理解教育/開発教育への取組みは、これからの日本の教育を考える上で、沢山のエールをいただいた感がします。

映像を使って、世界とジブンをつなぐ授業の実践紹介

JICAでは一人でも多くの教員方に「世界とジブンをつなぐ教育」を実践していただけるよう、「難民」「イスラム」「教育」「国際協力」の4つのテーマにつき各10分の映像教材を作成していますが、後半はこれら映像教材等を活用した実際の授業の様子を4名の学校教員にご紹介いただきました。同学校教員は、2018年8月実施JICA「開発教育指導者研修」に参加し、国際理解教育学会関係者の助言・指導を得つつ、テーマ別に授業骨子案をグループ討議を重ね、その後、其々の学校で授業計画を練り、授業実践をされました。

静岡県函南町立東小学校 矢野 淳一 教諭

静岡県函南町立東小学校 矢野 淳一 教諭は、自分とアフリカの子ども達の生活を比べ、誰もが自分と同じように成長しようとしていることへの理解を深めると共に、学校へ行くことができない理由や何のために学ぶのかについて考えることを通じて、学校で学ぶことへの感謝の気持ちを育むことをねらいとした授業を実施。小学校低学年を対象としているため、子どもたちに伝わるよう、子どもたちの発達段階に応じた分りやすい授業展開をされています。

京都府京都市立百々小学校 松本 清代 教諭

京都府京都市立百々小学校 松本 清代 教諭は、子どもたちに日本と外国とのつながりを意識させると共に、SDGsをどのようにすれば子どもたちに身近に感じさせられるか試行錯誤を重ね、授業計画を練りました。学年全体で取り組んだ「百々小学校SDGs17項目」は、その工夫の一つ。SDGsがともすれば他人事に傾きがちである中、地域や学校という自分の身の回り(自分事)のことと結びつけ、自分たちにできそうなことを具体的に見出し、選ぶという活動を行っています。その過程を通じて、自分たちで作ったこの目標に向かって取り組んだり、広めようとしたりとする子どもたちの姿勢が見られ、沢山の気づき・学びに満ちた授業でした。

広島県立安西高等学校 中須賀 裕幸 教諭

広島県立安西高等学校 中須賀 裕幸 教諭は、世界人口の4分の1を占めるイスラム社会について、その現状を正しく理解し、公正な視点で、自分の意見を表現できること、また日本社会に暮らすイスラム教徒との共生を図り、地球市民としての態度を涵養することをねらいとして授業を構成。授業後、生徒たちのイスラムへのネガティブイメージが修正された他、「方々から情報を得て、偏った考え方をせず、本当はどんな国かを理解することが大切」、「マスメディアなど一部の報道・情報に左右されず、正しい知識を得ることが必要」など、誤ったイメージ(差別・偏見)で物事を判断せず、正しい知識と公正な判断が大切であることを、其々が感じ取った授業でした。

東京都新島村立式根島中学校 髙田 裕行 教諭

東京都新島村立式根島中学校 髙田 裕行 教諭は、「難民発生の背後にある社会的リスクや社会構造、難民となった当事者の思いや立場を理解し、さらに難民を受け入れることで派生するメリット、デメリットについて様々な視点から考え、自分の意見を発表できる。」ことをねらいとして、計7時間の授業を構成されました。東日本大震災発生時の避難民と旧住民との対立について取り上げるなど、遠い国の出来事と捉えられがちの難民問題を、「ジブンゴト」として生徒に意識させるために、随所に工夫がちりばめられていました。映像教材や外部講師を効果的に利用した他、コミュニティーをも巻き込んだ行動にまでつなげるなど、学校全体での取り組みに、確実な教育効果を実感する素晴らしい授業でした。

ニュース