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道傳 愛子 氏(NHK国際放送局 シニア・ディレクター)による基調講演「教室から世界を考える~日本の私たちとSDGs」(JICA主催セミナー報告)

2020年3月19日

前半プログラム 基調講演「教室から世界を考える〜日本の私たちとSDGs」

地方からもたくさんの参加者が集まりました

2月2日(日)、道傳 愛子氏(NHK国際放送局 シニア・ディレクター)をお迎えし、JICA地球ひろば公開セミナー「未来を拓く道しるべ・SDGs ~多文化共生、SDGs視点を取り入れた授業実践からの学び〜」(後援:日本国際理解教育学会)が開催されました。
会場には、熱心な小・中・高校の学校教員、教育行政官、地方自治体、大学生、高校生、企業、教育関係者、NPO/ NGO、メディア関係者等、約150名近くの方々にご参加いただきました。

道傳 愛子氏による基調講演

熱心に語り掛ける道傳氏

前半は、NHK国際放送局 シニア・ディレクターの道傳愛子氏から、「教室から世界を考える〜日本の私たちとSDGs」をテーマにした基調講演がありました。
道傳さんのジャーナリストとしての視点から、SDGsと日本の私たちの生活、学校との関係について、世界との共生・協働について、地球市民の視点についてなど多岐に渡ってお話をいただきました。

デリーの移動図書館とSDGs

自らの取材体験をもとにした講演には説得力がありました

お話はJICAと共に訪問したデリーの小学校視察でのエピソードから始まりました。「もったいないばあさん」という日本の絵本のヒンドゥー語での読み聞かせのあと、校庭にやってきた移動図書館に子どもたちが乗り込み、本を読むという活動が紹介されました。その活動は、JICAや日本の企業、インドの図書協会などが協賛し、橋渡しをする現地のNGOが主導し、学校の先生たちの強い思いで実現した活動とのことでした。
子どもたちは、身近にある「ごみを捨てない」「水を出しっぱなしにしない」など、「自分が今日からでも取れる小さな行動が、世界をよくすることに繋がるんだ」ということを学びます。SDGsというキーワードへの具体的な言及はなくとも、水を大事にする、環境を大事にする、ジェンダー平等など、17のゴールのうちのいくつかについての気づきがある構成になっていたそうです。

教室から世界を「考える」

また、自身が通っていたイギリスのロンドンの小学校の朝礼では、「同い年の子どもたちがほかの国では今をどう生きているのか」ということを日常的に、授業や朝礼で先生が子どもたちに話して聞かせていたそうです。イギリスでは先生も子どもたちにも毎日、お昼のほかにお茶の時間があったそうですが、ある日のこと、校長先生が朝礼で「今日はお茶の時間のおやつは無しで過ごしましょう」と提案されたとのこと。貧困や飢餓、当たり前と思っていたことが当たり前でないのだとということが、自分の生活と感じる機会となったそうです。

教室から世界を「考える」から、教室から世界を「変える」へ

こうした思いを子どもの時にすると、豊かさは当たりまえにあることではないと感じる機会になり、そうした経験から、よりよい世界をつくるためには、政府や国際機関、企業やNGO、いわゆる大人だけが、世界を変える「媒体」(=エージェント)なのではなく私たちひとりひとりにもできることがあるかもしれない、と考えるようになったとのことでした。世界の見え方が変われば、自分のとる行動も変わる。つまり「教室から世界を考える」ことは、「教室から世界を変える」ことにもつながるのだという力強いメッセージをいただきました。

セミナー後半では、「明日から実践!授業事例の紹介」と題して、3名の学校教諭の方々からSDGs /国際協力、多文化共生の授業事例をご紹介いただきました。併せてぜひご覧ください。

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