国際協力中学生・高校生エッセイコンテスト 2009年度優秀作品

高校の部 入選

少年と、僕。

神戸市立葺合高等学校 二年
増本 俊輔

ある少年が、一心不乱にある一冊の本を読みふけっていた。「日本の子ども達が地球を救う50の方法」という本。決して目立たないその本を、一体どうやって見つけ出したのだろう。その少年は、家に帰ってもその本を読み、そして心の中では希望の炎が燃えているのを感じていた。「僕にも地球を救うことができる!」と。

この少年、もしかしたら普通とは少し違うのかもしれない。というのも、——少年が望んでいたこととは違うが——学校に行く前、毎朝NHKニュースを見、エコスタンプを集めるためにどこへ買い物へ行くにもマイバッグを持って行くような奴だったのだ。無論、普通の少年というのがどんなものか分からないし、むしろこの少年はものすごく普通なのかもしれない。とにかく、この少年はそういう奴だったのだ。そう、小学校の頃の僕は。

不思議なことに、十七歳になった今でも、「地球を救う」ことに興味があるのは変わっていない。それどころか、「いつか僕も…」という思いに変わってきている。その思いを強くしたのは中学生の時。ある時僕は、あの「WEARE THE WORLD」のドキュメンタリーを見た。そこには、飢餓で苦しむアフリカの人々の姿と、それを救おうとする歌手の姿があった。その時、僕は思った。「世界には、こんなにも苦しんでいる人々がいる。けど、自分にできることで世界を救おうとしている人もいるんだ」と。

それから、僕はより一層「何かしなきゃ」という思いを強くした。少しでも将来、地球を救えるように、高校は、英語と、国際的なことを学べる所に入学した。——と、ここまではまるで世界を変えるために生まれてきた人の人生みたいだが、実際はというと…そんなはずがない。たしかに、授業では実に様々なことを学べる。児童労働のこと、地雷のこと、人種差別・男女差別のこと。自分の知らなかった、「闇の世界」があることに気づく。では、自分は少しでも世界のためにしているのか?答えはノーだ。情けないが、日々の生活で精一杯である。授業を受けて、部活に行って、疲れて帰って…。学校での募金さえも忘れる。それがかつて希望の炎を燃やしていた少年の、今の姿だ。

そう。「思い」と「行動」はいつもイコールになるわけじゃない。それは、世の中の多くの人も同じだと思う。「何かしなきゃ」とは思っている。けど、忙しい。けど、できない。何かと理由をつけてあきらめる。でも…それでいいのだろうか。世界には、毎日苦しみながら生きている人がいる。おもちゃだと思って遊んでいたら、次の瞬間、自分の腕が、足が、無くなっていることに気づく子供。肌の色だけで差別される人々。そんな人々がいることを知りながら、何もしないままでいいのだろうか?

「世界は、私たちひとりひとりからできている。だから、あなたや私がちょっと変われば、世界はやっぱり、ほんのちょっと変わっていくの。」これは、セヴァン・カリス=スズキさんという女性の言葉だ。感銘を受けた。できることからやればいいのだ。いきなり世界を変えるなんてことはできない。けど、例えば、授業をちゃんと受ける。募金には積極的に参加する。それだけで世界は変わる。自分が変わり、未来が変わる。ゆくゆくは、地球が変わるのだ。

今の僕の夢。それは、「世界を変える」ということ。人を笑顔にし、幸せにする。そうすれば世界は変えられる。今はまだ、自分のことで精一杯だけど、今からちょっとずつ変われば、必ず実現できると信じている。いや、あの時の少年の思いを、ムダにしないためにも、必ず実現させる。それに…その少年は、「今でも」、それを強く、強く望んでいるから。

プログラム紹介