国際協力中学生・高校生エッセイコンテスト 2009年度優秀作品

中学の部 審査員特別賞

本当に大切なこと

佐賀市立城西中学校 三年
中江 佳奈

「釣った魚を与えるんじゃなくて、魚の釣り方を教えてあげることが大切なんだよ。」

これは小学校の頃、先生が教えてくださった言葉だ。そのときはその言葉の意味がよくわからなかったし、実際どんなことなのか実感がわかなかった。けれど、大切なことのようでずっと覚えていた。

今、発展途上国とよばれている国は、約150カ国におよぶ。それらの国に対して日本をはじめとした豊かな国や、その国の民間団体などはさまざまな援助をしている。

先日、何気なくテレビをつけてみるとカンボジアで井戸を掘るというプロジェクトが映っていた。私たちの生活からは想像もつかないかもしれないが、雨が降らず水不足であったり水道のシステムが整っておらず十分な水が確保できなかったり“水”のことで頭をかかえている国は少なくないそうだ。そこで日本から二人の技術者がカンボジアへ向かい、現地の村の人たちと一緒に井戸を掘ることになったのだ。私はこれをみた瞬間「これだ!」と思った。水源を村の人と一緒になって探し、村にあるもので井戸を掘っていく。そして見事、井戸が完成したときはみんなで喜ぶ。これが本当の援助なのだと思った。

私がこのプロジェクトに惹かれたのは、村にあるもので村の人と一緒になって井戸をつくり上げるというところだ。日本の技術なら、一度機械を運んでその機械で井戸を掘ってしまえば、カンボジアに井戸をつくることなど簡単だ。けれど、それでは意味がない。本当に大切なことは井戸を作ってあげる事ではなく、井戸の作り方を教えてあげる事なのだと思う。日本はものづくりにおいて高い技術をもっている。技術は目にみえるものでも、かたちがあるものでも、お金で買えるものでもない。けれど世界が最も必要としているものの一つなのだと思う。このプロジェクトが終わり技術者が日本へ帰ったあと、村の人たちは次は自分たちの力だけで井戸を掘っていた。こうして、自分たちの手で少しずつ生活を豊かにしていくのだと思う。

そしてこのときはじめて、先生が伝えたかった事はこういう事なんだ、と理解できた。魚は食べてしまうと、すぐになくなってしまう。けれど一度釣り方を身につけると、また自分の手で魚を捕ることができる。国際援助の最終的な目的は、ひとつの国をその国の人々の力で動かしていくことだ。そのことを私もカンボジアの人々も忘れてはいけない。

私がこうして学校で学んでいる事や、友達や家族から教えてもらう事も、魚の釣り方なのだと思う。まだ一人でできることは数少ないし、何をするにも親やいろんな人の支えが必要だ。だけど、これからもっとたくさんのことを吸収して、今度は私が世界中の人に知っている事を伝えて、世界中の人が幸せになるための力になっていきたい。

プログラム紹介