2008年9月12日
8月26日(火)に石川県立看護大学と羽咋市社会福祉協議会の協力による日系デイケア研修の閉講式が県立看護大学において行われました。高齢化にともない地域福祉の必要性が高まっているパラグアイの日系社会から4名の研修員が参加し、地域で支える高齢者福祉について学びました。
今回は無事研修を終えて閉講式を迎えた様子をレポートします!
発表の準備ができました
研修コースでは最後のとりまとめとして参加した研修員がそれぞれ帰国してから研修で学んだことを活かして、どう活動してゆくかを発表する機会が設けられており、これをもって終了することとなっています。そのために各自が8月上旬から、この日まで苦労して計画を練ってきました。
研修中に訪れた先は実に25ヶ所。時には、富山県や愛知県の福祉施設へ遠出をすることもあったそうです。
研修の成果としてどのような計画が発表されるのか、研修に関わってきた県立看護大学や社会福祉協議会のスタッフも、一方では研修が終わり、彼女たちが去ることを寂しく思いながらも、この日を迎えることを寂しく思うと同時に楽しみにしてきました。
発表では、「活動の度にその日の様子を連絡ノートを書いて、家族に伝え、少しずつ周りの理解を得られるようにしていきたいです。」と福井さん。続けて、「1人の1歩より100人の1歩。共に活動できる仲間を増やしていきたいです。」と言葉を締めくくりました。
北川さんは、「認知症予防などの高齢者への活動だけではなく、これからは高齢者を抱える家族に対しても、集いの場などを作って介護者がほっと一息できる場を少しずつ増やしていきたいです。」と語りました。
続いて若森さんは、「リハビリに加えて、歌やゲームを取り入れた認知症予防、食べ物や運動に気を遣った介護予防を活動に取り入れていきたいです。また婦人部の集まりなどでも活動を紹介して協力の輪が広がっていくように取り組んでいきたいです。」と熱心に語ってくれました。
最後に水本さんからは、「この研修を通して認知症についてよく理解することができました。元気なお年寄りを増やすには、サークルなどで私達が運動の機会を作り、お年寄りが体力アップし更に活力アップへとつなげていくことが必要であることを知りました。また運動と一緒に体重計や血圧計を使って健康チェックを行い、介護予防にも力を入れていきたいです。」と語りました。
皆さんの地域では福祉について温度差があり、進んでいるところもあれば遅れているところもあります。そのような中、ひとりひとりが地域においてできることを取り入れて活動に活かしていこうという意気込みが伝わってきました。
民宿「夢ふぶき」のご夫婦
そしてこの日は思いがけないことがありました。
何と研修中に滞在していた民宿の旦那さんとおかみさんも研修員の方々の成果を見届けるために駆けつけてくれたのです。身近な所からいつも皆さんを支えてくれていたおニ人。
「ずっと近くで生活してきて、もう帰ってしまうと思うと、本当に心にポッカリと穴が開いたように寂しいです。」とご主人。研修員の皆さんもその言葉に涙を流していました。会場全体がその様子に何とも言えない温かい空気に包まれました。
「発表の前日、準備のために疲れて宿に帰ってきた私達に、おかみさんが夕食の支度をする元気もないだろうからと晩ごはんを用意してくれていたんです。本当に感激しました。」と北川さん。
「何で見ず知らずの人にこんなに親切にしてくれるのか。滞在中には本当に地元の人たちが良くしてくれて感謝の気持ちでいっぱいです。」と、福井さん。
研修先の先生方やスタッフの皆さんだけではなく、身近な所でたくさんの人に支えられて無事研修を終えることができたのですね。
感動の瞬間
発表が終わり続いてJICA北陸の藤井課長より皆さんに修了証が手渡され、その後石川県立看護大学の木村学長から記念品が授与されました。
記念品と修了証を手に、深々とお辞儀をする皆さん。その様子から研修に関わった全ての方に対する感謝の気持ちが伝わってきました。
閉講式を終えて、改めて研修に関わった県立看護大学、羽咋市社会福祉協議会、そしてJICA北陸のスタッフを交えて皆さんの研修修了をお祝いしました。
発表の準備にあたって、育てる気持ちで熱心に指導にあたった県立大学の先生方、そして研修を温かく見守ってきた協議会のスタッフの方々。最後には、肩を抱き合って研修員と修了を喜び合いました。
発表の準備をふり返って、「研修を受けるまでは、活動計画を自分たちで考えたことがなかったので最初はどうなることかと不安でした。でも、今回自分たちで作ったことによって、事前に計画を立てて活動することを学びました。」と語る水本さん。
「今は、現地にいるJICAボランティアの作った計画に沿って活動していますが、これからは私たちも積極的に計画作りに関わっていきたいです。」と北川さん。
帰国後は4名の皆さんがそれぞれの地域で、共に活動する仲間やJICAボランティアと一緒により活動を活発にしてくれることでしょう。
今回おせわになった皆さんと
見知らぬ土地で受けた2ヶ月間の研修でしたが、共に研修を受けた仲間、そして受け入れ先はじめ地元の方々の支えにより、無事研修を終えることができました。
心のつながりから生まれる安心感は、人が地域で安心して暮らすことに通じるのを、身をもって実感できたのではないでしょうか。
今回の研修で、地域介護に関わり人を支える立場として、実習や講義からだけではなく触れ合いを通して大切なことが学べたと思います。
地元の人たちと協力して活発に福祉活動を進める県立看護大学、そして22年間地域福祉に取り組んできた羽咋市(社会福祉協議会)。
研修員の皆さんは、それぞれの受け入れ先が持つ経験を活かして地域福祉の取り組みを2ヶ月にわたり学びました。そして今度はこの4名が研修の成果をパラグアイの日系社会へ広げていくことが期待されています。
研修は終わりましたがこの研修に参加した皆さんにとってはこれからが始まりです。4名の活動の輪が一人、また一人と広がりいずれ大きな輪となり、地域福祉が根付いていくことをお祈りしています!
皆さんの明るい笑い声が聞けなくなったのは寂しいですが、現地からの活動の便りを楽しみに待っています。2ヶ月間の研修本当にお疲れさまでした!