2008年度 『サブ・サハラ・アフリカ地域における学校運営改善』 子どもたちにより良い教育を!〜学校運営改善のために〜

アフリカ、サブ・サハラから石川の教育現場へ

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サブ・サハラ6カ国の国旗

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自分の国とどうちがうのかな?

エチオピア、ガーナ、ザンビア、スーダン、ナイジェリア、マラウイと聞いて、みなさんはどこにある国か想像できますか?この6カ国はいずれもアフリカのサハラ砂漠より南のサブ・サハラ地域にある国々です。

9月の中旬から始まったこの研修は、学校と地域の関係強化などの学校運営改善を目標とし、魅力ある学校作りを進めるために行なわれました。

サブ・サハラ地域では地方分権化が進み教育分野においても地方へ権限や責任が移行しているのだそうです。しかし地方では行政の体制も整っておらず、地域住民の教育に対する理解不足も大きな課題となっています。

一方、日本の学校では基本的な教科以外にも音楽や体育などの情操教育に加え、運動会などの催し物も多くあり、子どもたちにとって充実した環境が整っています。PTAの活動も活発でそれぞれの学校においてさまざまな取り組みが行われており、地域ぐるみの学校運営が進んでいます。

今回来日した11名のみなさんは、出身国において地方の教育行政官や学校の校長として、地域の教育方針の設定や学校運営に直接関わる方たちで、出身国は異なりますが、教育に対する親の理解不足や子ども達の若年結婚など抱える問題にはいくつかの共通点があります。

研修の受け入れをしていただいたのは、金沢大学の田邊教授です。教授は教育学の分野の教育制度や学校改善などを専門とされており、ヨーロッパやアメリカなど諸外国の教育制度にも詳しく、本研修の立ち上げ時からご協力いただいています。

日本の小学校を訪れて

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マラウイについて紹介するトミーさん

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タンバリンで子どもたちとリズムをとるアニーさん

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授業を見学するシドニーさん

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トミーさんの大きな手を見てみんなびっくり!

研修員は1ヶ月の研修期間中に金沢市・白山市内の小学校を見学しました。10月の終わり、マラウイからの研修員3名が大浦小学校を訪問しました!今回はその様子を取材しました。

学校では、元気いっぱいの子どもたちが迎え入れてくれました。
授業前の朝の会では係の生徒が、「体調の悪い人はいませんか?」と生徒に問いかけ、一人ひとりが「元気です!」と大きな声で答えていました。この様子に感心する研修員のみなさん。保健室では生徒たちの体重や身長などを記録している健康手帳について説明を受けました。

マラウイでは子どもがエイズなどの感染症にかかり学校に通えなくなることもあるそうですが、子どもたちの健康を守るための具体的な取り組みは、まだまだ十分には行われていないそうです。

「いいアイデアがたくさんあって勉強になりました。できることから始めていきたい。」とアニーさん。

一方、子どもたちの反応はどうでしょうか?
アフリカからやってきた珍しいお客さんに最初はちょっと緊張気味。それでもやっぱり研修員の皆さんと交流したい子どもたち。給食を共にしたあと、お昼休みには子どもたちの方から研修員の皆さんと体育館で遊ぼうという提案があり、みんなで一緒に鬼ごっこをしました。

「トミーさんのおててって何でこんなに大きいがけ!?(大きいの!?)」と、合わさった手を見比べて目を丸くする子どもたち。言葉は通じなくても、体を使って子どもたちの力で精いっぱいコミュニケーションをとっていました。

最後には子どもたちに囲まれて身動きが取れない程人気者となっていたみなさん。トミーさんはそんな子どもたちの様子に、「他の国の人たちについて知ろうとする好奇心の強さが素晴らしい。」と感激していました。

1日の訪問を振り返って

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いろいろなことを見学して学ぶことが出来ました

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大浦小学校の先生と研修員のみなさんと関係者

最後に先生方を交えて、1日の訪問を振り返りました。

皆さんの出身国の学校では、算数や社会など基本的な授業はありますが、その中で生活に結びついた身近な授業は行われていません。最後に見学した瀬川先生の授業では台風の恐ろしさについて取り上げていました。

「地域の中で生活するうえで必要な知識も授業で教えていて、大変参考になりました。」とアニーさん。干ばつや洪水など災害が多いサブ・サハラ地域ですが、身近な問題として災害についても子どもたちに教えていくと、地域での学校への関心も高まるかもしれませんね。

また、毎月西川校長先生自らが保護者に向けて作っている校長通信の説明を受け、このような情報発信もぜひ行っていきたいと話していました。元気な子どもたちと、子どもたちによりよい教育をしようと取り組む先生方の姿勢からも刺激を受けたようです。

今回の研修はこれで3度目を迎えており、すでに研修を受けた研修員が中心となって、PTAと学校との関係が改善され、運動会が開催されるようになったり、給食の実施が始まるなど、教育環境に変化が見られる地域もあるそうです。3名の皆さんが帰国後どのように大浦小学校で見たことを活かしていくのか楽しみですね。

大浦小学校のみなさん、そして先生方、本当にありがとうございました!