AICAD研修の一環で研修員が石川県にやってきました!

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上:ケニア国旗 下:ウガンダ国旗

3月27日28日の2日間、ケニアそしてウガンダから研修員4名がやってきました。

今回の研修では受け入れ先の石川県立大学、金沢大学に加えて、金沢大学と連携して活動する珠洲市役所、そして能登の地域の方々からも直接お話をお聞きしました。
研修員の皆さんは研修を通して何を感じとったのでしょうか?
2日間の研修の様子をレポートします!

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講義の前に丸山学長(当時)を表敬訪問

東京で4日間の研修を終えた後に石川県にやってきた研修員のみなさん。「車窓から見る田園風景がすばらしかったよ!」(エライシャさん)と、東京とはまた違った地方の様子にみなさん喜んでいました。

石川県立大学産学官連携学術センターでは産学官連携の取り組みについてご講義いただきました。

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大山莞爾(おおやま・かんじ)産学官連携学術交流センター長

同センターでは企業からの相談を受けて大学や関連機関の研究者の中からニーズにあった人材をコーディネートし、課題解決に向けたサポートをしています。そのほか、リサイクルビジネスや地域色を活かした特産品の開発なども視野に入れて、産学官連携を進めています。さまざまな取り組みを聞いて「Good!Good!Good!」(エライシャさん)と感心していました。

また、大学が民間や行政と共にどのようにアイデアをビジネスに繋げていくのか、そして連携する上で気をつけるコーディネートのポイントなど具体的にお話いただきました。

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桜井副学長(写真左)との意見交換。大学から地域へ飛び出す大切さについてお聞きしました

金沢大学では桜井副学長を表敬した後、地域連携の拠点として珠洲市に設けた能登学舎において小路(こうじ)特任助教授から地域での取り組みについてお伺いしました。

能登学舎では農業やビジネスなどの技術を身につけられる能登里山マイスター養成プログラムを実施しています。修了生はその後、地域に根付いて活動することが期待されています。

このプログラムは地元の篤農家や企業など地域の人たちの協力のもとに運営されています。プログラムの修了生が新規ビジネスを立ち上げて新たに雇用が生まれたという事例もあるそうです。

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里山マイスター能登学舎前で

「持続性のある人材育成をするのが私たちの課題ですが、地域の中でネットワークを広げて大学と地域が相乗的に活性化すれば自然と持続性も備わるのですね。」(パトリックさん)と大きなヒントを得たようです。

金沢大学の連携パートナーである珠洲市役所も訪問しました!

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市長との意見交換

珠洲市では泉谷市長を表敬し、珠洲市の産業やケニア、ウガンダの社会について意見交換しました。その後、金田課長から珠洲市の取り組みについてお話を伺いました。

珠洲では年々400人程の人口が減っています。特に進学や就職により若年層の流出が激しく過疎化の問題は深刻。

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金田課長が丁寧にお答えくださいました

地域を活発にしていけるような人材を育成したい珠洲市と、地域に入り込んで活動をしたい金沢大学の目的が合致し、連携して里山マイスターなどの取り組みが始まったそうです。

「大学というのはアフリカではとにかく敷居の高い存在なんです。地域の人との距離を縮めるポイントは?」というエドワードさんの質問に、金田さんが深くうなずきながら答えました。

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「距離が縮まるような仕掛け作りが大切なんですね。」とエドワードさん(右)

「大学の敷居が高いのは日本も同じ。地域の人との距離を縮めるために市役所が仲介となって、大学側、そして地域の方を招いて定期的にタウンミーティングを開いたり、大学の先生が小学校で環境教育を行うなど地域の人と一緒に場を共有するような機会を設けています。」

皆さん其の言葉にひどく感心した様子でした。

地域の方からも直接お話をお伺いしました!

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井池さんご自宅にてざっくばらんにお話を伺いました

訪問した先は輪島市金蔵地区の井池さんのご自宅。これまで金沢大学はじめ、県内外からも多数の大学が調査などで金蔵地区を拠点に活動してきました。

「大学との関わりが始まって大学生が地元の祭りやイベントに参加するなど、ほかの地域の人たちとの交流がとても活発になりました。このような機会を通して私たちの経験を伝えられるのは嬉しいことですね。同時に研修員のみなさんから私たちが学べることもあるはず。これからも相互に学び合っていけるといいです。」と井池さん。

とても温かいお言葉を頂きました。

研修を終えて得たものは?AICADケニア事務所のナトーさんに感想を聞きました

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AICADケニア事務所でプログラムを担当しているナトーさん

日本の農村地域ということで、大規模農場が広がっていて、大型機械を使った農業が営まれているのかと想像していました。
でも実際に来てみると、ケニアの農村のように畑や田んぼは小規模ですし、手作業で管理している様子をあちこちで見ました。
共通しているところがたくさんあったのは本当に意外でしたね。
そんな中ここまで日本が成功してきた秘訣が分かりました!
みんなが地域の持っている問題を共有して、同じ目標に向けて力を合わせて頑張ったことですね。
これは私たちにもできること。とても勇気づけられました。

まずは定期的にミーティングを開いて、地域の人と一緒に問題を共有できるような機会を作っていきたいです。

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2日間の研修を終えて。石川から東京へ戻るみなさん。左から金沢大学宇野先生、ナトーさん、パトリックさん、エライシャさん、エドワードさん

駆け足の研修でしたが、みなさんが見るもの触れるものから積極的に吸収し、活動を進める上でのポイントをつかんでくれたことがとても嬉しいです。
またケニア、そしてウガンダからの研修員と触れ合って地域のみなさんも元気になれた研修でした。

研修の経験を基に今後の活動計画を作成した皆さん。続けてタイに向けて出発し、タイの大学が地域とどのように連携を進めているのか学びます。日本で得たものとはまた違ったヒントを吸収してきてくださいね。

石川県のモデルが研修員のみなさんを通してケニア・ウガンダに向けて発信され、さらには東アフリカの人づくりへとつながっていくことを期待しています!