地域に根ざしたリハビリテーション手法であるCBR(Community Based Rehabilitation)アプローチを学ぶために「中東CBR事業促進」コースの研修員として、中東4カ国(エジプト、パレスチナ、ヨルダン、シリア)の障害者支援関係者6名が福井県に来県し、必要な知識を学んでいます。
本研修では受入機関である「リハビリテーション分野の国際協力の会」を始め、福井県立大学、その他県内関連機関・団体などにも視察等でご協力をいただいており、県内の関係機関が一体となった研修コースとなっています。
今回、研修員はオリジナル福祉用具製作工房「Lee製作室」を訪問しました。同工房は「バリアフリーをものづくりから」を標語とし、利用者の一人一人の体型、利用方法にあった負担の少ない形にするためオーダーメイドで福祉用具を製作しています。
代表の酒井さんより、福祉用具製作のポイントとして通気性、安定感、強度も重視しながら色も多彩で好みに合わせて製作しており、機能性だけではなくデザインにも工夫を凝らした斬新な商品であることを説明いただきました。
研修員は、実際に福祉用具を使用しながら、特に入浴時やトイレ専用の補助イスなど実生活で必要な福祉用具に高い関心を示しました。このような製品は彼らが知る限り自国にはなく、製作に関わる初期投資や、原価や販売価格、月間の生産数、福祉用具の販売・発注ルートや購入時の補助制度などについて、さまざまな質問が飛び交いました。
研修員からは「酒井さんが製作する数々の福祉用具には、これまで利用者の体を矯正する道具という概念から抜け出して、安全で体に負担が少なく、まるで親が子どもを抱えるような、包み込む優しさから生まれた製品ばかりです」という感嘆の声を上げました。
酒井さんは、ご自身の娘さんに適した福祉用具が市販されておらず、それなら自分でつくってみようという気持ちで同工房を立ち上げました。この日、研修員は福祉用具を製作するにあたり、障害をもつ人々がよりよく暮らしていくために、試行錯誤を繰り返しながら福祉用具を工夫して作る人々の心も学んだことでしょう。今日、酒井さんより教えていただいたアイデアが中東で活かされることを願っています。