日系パラグアイ研修 —デイケアと介護予防を日系社会で広げるために—

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パラグアイ共和国

石川県立看護大学と羽咋市社会福祉協議会が受け入れ先となり、今年もデイケアと介護予防を学ぶ日系研修が行われています。この研修は今年で3年目を迎えます。
今年は2名の研修員がパラグアイからやってきました。

7月末から9月上旬まで約2か月の研修は、石川県立看護大学での講義に加えて、羽咋市内外の社会福祉施設において実施されているデイサービスや訪問介護現場での実習も行っています。

現地での二人の活動

【画像】パラグアイ地図 【写真】

パラグアイから地域で進める高齢者福祉について学ぶため来日しました!久保優子さん(左)、合田歳恵さん(右)

イグアス移住地から参加した久保優子さんは、地域で立ち上げた「なのはなサロン」で高齢者を対象にデイサービスなどを行っています。今回の研修では在宅介護や在宅でのリハビリについて学ぶことが目標としています。

合田歳恵さんは首都のアスンシオン市で、地域の日系福祉センターで高齢者に健康管理の指導などを行っていますが、今回はデイサービスや寝たきり高齢者の支援について学ぶことを目的に研修に臨んでいます。

「いちご会」で知った回想法

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かほく市社会福祉協議会の施設内で活動する「いちご会」

2人は7月下旬、かほく市の「いちご会」の活動に参加しました。「いちご会」は同市の県立看護大と地域住民が認知症予防を目的に設立したボランティア団体です。パソコンや手芸などのクラブ活動を中心に、参加者が楽しみながら認知症の予防ができるように工夫されています。

見学に伺った日は、月に1回行っているお話し会の日です。お話し会は、回想法※という手法を用いて進められます。

本日のテーマは「夏の風物詩」

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今日のテーマは夏の風物詩。昔の情景を頭に思い浮かべながらひとりひとり、順に話します

「海へ行って浜辺を裸足で走りまわったもんやわ〜」「家では寝床に蚊帳が張られとって、家族みんながぎゅうぎゅうになって1つの蚊帳で寝たもんや」と海や蚊帳など懐かしい夏の風物詩を思い浮かべながら、参加者のみなさんが夏の思い出を話し始めました。

久保さん、合田さんも参加者のみなさんに交じって会話を楽しみます。合田さんは6歳、久保さんは12歳まで日本で暮らしていたので、2人により語られる想い出は、みなさんの思い出とそんなに変わらないようです。

風鈴、蛍、盆踊りと共通の話題が挙げられ、会話はどんどん弾んでいきました。

参加してみて感想は?

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パラグアイからは36時間かけてやってきたんですよ」と久保さん「え〜!?ほんなに遠いところからおいでたんね」とみなさん

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風鈴もかけられリンリンと音が響きます

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「大変勉強になりました」と合田さん(左)「またいつでも遊びにきてくださいね!」といちご会の瀬戸清子さん(右)

「私たちの活動の中でもみんなで集まってお話をすることはあるけれど、昔の想い出をテーマに話をすることってないですね。昔の話題だと話も盛り上がって、何よりも参加者が楽しめることが分かりました。帰国してから早速取り入れたいです」と久保さん。

「いちご会」参加者の清水さんは「こうやって日系人の方とお話するのは初めて。私たちの活動がお2人の現地での活動に活かせるのならうれしいもんや。また次回も遊びに来てほしいわ〜」と名残惜しそうな様子でした。

9月上旬に研修を終えた2人は、これからパラグアイに戻り、研修で学んだことをグループ活動に活かしていくことが期待されています。

これまで参加されてきた研修員のみなさんとも協力しながら、活動を広げていって下さいね。

※回想法とは、人生の歴史や思い出を聞いたり話したりすることにより、五感に働きかけ記憶を呼び起こし、認知症の予防に役に立つというもの