2014年度 課題別研修「中米 地域資源としてのマヤ文明遺跡の保存と活用」

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グアテマラ研修員がアクションプラン対象地域としているティカル国立公園

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ティカル国立公園内にあるマヤ文明における王の墓(ピラミッド)

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ティカル国立公園内にある神殿

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街全体が世界遺産登録されているアンティグア(南部にある古都)

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国立公園スタッフ、地域住民代表、研修員、各国招聘者(来年度候補者)で問題点について協議

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国立考古学博物館内での最終アクションプラン発表会の様子

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本邦研修修了証授与後の集合写真。みんないい笑顔です。

研修名:平成26年度課題別研修「中米 地域資源としてのマヤ文明遺跡の保存と活用」
研修期間:2014年10月8日〜11月6日(本邦研修)
2014年11月7日〜11月21日(在外補完研修:グアテマラ)
研修受託先:金沢大学(人間社会研究域附属国際文化資源学研究センター)

10月8日〜11月6日の約1カ月間、中村誠一教授(金沢大学人間社会研究域附属国際文化資源学研究センター)をコースリーダーとして本邦研修を実施しました。本邦研修では、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスの研修員が、日本やアジアの事例を通して、文化遺産の保存と活用法や、地域・自然との調和的発展の方策等について学び、実際に世界遺産や重要文化財が保存されている観光地を視察し、そこで働いている人との意見交換も行いました。研修の最後には、本邦研修で習得した知識や経験をもとに、自国の実情にあったマヤ文明遺跡の管理運営法、地域住民の生活向上につながる活用法についてアクションプランを作成しました。アクションプランは、昨年度の研修員が作成したものの進捗状況報告部分と、今後の計画部分に修正を加えたものの2本立てで行いました。
この研修の大きな特徴として、(1)毎年異なる立場の人が参加していること(2)各年の研修員が仕事上で繋がりがあること(3)翌年度の研修候補者を在外補完研修に招聘すること、が挙げられます。当研修は3年間を一くくりとして、各年の参加者が連携して作業を行います。初年度はアクションプランの根幹を作成するため、当該省庁の行政官(考古学者)や研究センターらの重要ポストに就いている者が参加し、本年度はそれを実行に移す部隊や関連省庁勤務者(観光省)、コミュニティ代表者が研修に参加しています。来年度は、遺跡周辺コミュニティ関係者の比率をより大きくし、研修終了後も行政・専門家・地域住民が一体となって、遺跡の保存と活用を実行に移せるように考えられています。

本邦研修が終了した後の11月7日〜11月21日の2週間、研修員や中村教授、他関係者はグアテマラで在外補完研修を行いました。在外補完研修は、マヤ文明遺跡のあるサイト(グアテマラ)において、その遺跡の保存と地域開発・観光開発に結び付いた利活用の現状と課題を、遺跡関係者や周辺住民らの声も聞き、より自国の実情にあった地域開発計画(アクションプラン)への修正を行うことを目的として実施されました。
今回の在外補完研修での一番大きな収穫は、実際に遺跡周辺のコミュニティを訪問し、地域住民らの生の声を聞くことにより、全研修参加国のアクションプラン内容に変更があったことです。どの参加国も、地域住民を巻き込む具体的な計画に仕上がりました。遺跡周辺地域の住民自体が、遺跡から何らかの恩恵を受けないことには、「遺跡の保存と活用」に対する地域住民の理解を得ることは難しい。各国の遺跡管理者や遺跡を保存・活用したい文化省や観光省の行政官、そしてコミュニティ住民の合意を得て、持続的に発展していくよう促すことが重要だということを研修員たちは学びました。
このアクションプラン発表会は、遺跡近くのフローレス市と行政官の多い首都グアテマラシティで実施しました。フローレス市でもグアテマラシティでも、地元マスコミにも当研修が取り上げられました。また、グアテマラシティでの発表会は、国立考古学博物館内で行われたため、観光客のみならず、地元の小中学校の修学旅行生らが研修員の発表を聞きました。少しずつ、グアテマラ国民の遺跡に対する誇り・尊敬の念が育まれ、周辺コミュニティを含む遺跡サイト全体の活性化(保存もしつつ)に繋がれば良いと思います。