砂漠の緑化と地球温暖化防止への挑戦 

【画像】染井正徳さん

金沢大学名誉教授 草の根技術協力事業薬化学専門家
染井正徳さん

NPO法人世界の砂漠を緑で包む会JICA北陸は共同で草の根技術協力「中国内モンゴル自治区アラシャン盟における包括的遊牧民の生活支援と環境教育を通じた砂漠化防止事業」を2007年から3年間の予定で実施しています。今回はそこで薬化学の専門家としてこのプロジェクトに関わっていらっしゃる染井正徳さんにお話を伺い、現場から見た国際協力への思いを語ってきただきました。

参加のきっかけ

約15年前に我々は、砂漠の緑地化と食糧増産、地球温暖化の防止を「夢」として、植物根活力剤の「ソムレ22号」を創造し学会で発表しました。しかし当時は、誰も関心を示しませんでした。その後、様々な「ソムレ化合物」を創造してきました。これらのソムレ活力剤を用いて、上記の「夢」に挑戦する協力者を得るための最後の試みとして、定年を2年後に控えた2005年 1月、北國新聞に記事を掲載してもらいました。
  
運良くNPO法人の「世界の砂漠を緑で包む会」の理事であった森田伸彦氏が、この記事に目を留められました。その結果、私の教授室で、坂井昭保会長、大沢俊夫氏、呉向栄氏との出会いが実現しました。会話は弾み、共通の「夢」に挑戦する同志として、私は念願していたゴビ(阿拉善)砂漠の緑地化に取り組む機会を得ることができました。

国際協力をやっていてよかったこと(感動・魅力)

砂漠は拡大し続け、黄砂は年々ひどくなっています。発生源のゴビ砂漠やタクラマカン砂漠が緑地化されなければ、世界各国でのアレルギー疾患や呼吸器病患者は増え続け、異常気象や地球温暖化は益々加速します。このような国境を越えた地球規模での災厄に対処するためには、日本の中で黄砂を調べたり植林活動していても何の役にも立ちません。
 
関連する国の人たちが、皆で知恵を出し合い、協力し合い、友情も信頼も育てながら、地球環境を良くするために、発生源の緑化に努力する過程は、まさに感動のドラマです。私利私欲を捨て、地球人としての価値観で行動できる喜びと充実感を体感できます。また一回限りの人の命をいただいた、人生の悔い無き生き甲斐を感じられます。
今後、地球上全ての国の人たちと連帯して、世界の砂漠に挑戦し、緑の地球の復活に向けた活動を展開できたら素晴らしいな、と考えています。

これから目指すものは

砂漠に限らず、荒廃した土地を緑化するために、穴や溝を掘り、その中へ種を撒き、あるいは苗や幼木を植林し、土をかけた後、水を一本一本かける従来法を、広大なゴビ砂漠全体で実施する事は、作業員を集めるだけでも困難です。ましてや経済的にも至難の技となり、地球の陸地表面に広がる世界の砂漠へと展開し、地球規模で緑化を実施することは不可能です。
 
従来法における不可能を、可能にする唯一の方法は、「種子を飛行機で播種し、今ある自然環境のまま放置して育てる方法」です。ソムレ活力剤を使用して、このノウハウを確立する事を目指します。
 
既に、2007年5月末に、それまでの実験結果に基づき、ソムレで処理した砂棗の種子をそのまま、ゴビ砂漠の流動砂丘表面上に投げ撒き、自然条件下放置するという「世界初の実験」を試みました。8月上旬の調査では、約0.1%の発芽率を達成しました。これは飛行機播種の基礎実験に成功したことを意味します。
 
2008年以降は、追試実験も含めて、砂丘表面上に投撒く方法の発芽率を高める様々な工夫を試みます。再現性を確立して、飛行機播種を実現する努力をします。一方、アフリカのカラハリ砂漠自生のスイカ種子の発根促進、スイカの収穫にもソムレが役立つ事が判りました。さらに世界の様々な砂漠の自生植物にもソムレを適用して、緑化、食料増産に貢献できるのではないかと考えています。

苦労と感謝

我々は、砂漠の緑地化と食糧増産、地球温暖化防止を目的として、約30年間大学で研究を続けてきました。その結果、砂漠地表面から30〜50cmの深さにある水気部分まで根を伸長する環境に優しいソムレ活力剤を開発できました。ソムレを利用すれば、ポンプで地下水を汲み上げる灌漑法を採用せずに、自然のまま雨季の雨水のみで、現地自生の植物を育てる事ができます。この開発のためには、小生の夢に共感した多くの大学院生、学部学生諸君の献身的な努力があったことを忘れてはならないのです。尽力してくれた諸君に深く感謝します。

ソムレの開発のためには、植物を用いた薬理試験が必要でした。2年越しで2度依頼した植物成長試験では、期待した結果は得られませんでした。3度目の正直として、3年目にお願いした薬理試験を快く引き受けてくれ、鋭い観察眼でソムレ22号の植物成長促進作用を確認していただいた、禿泰雄博士に感謝します。

北國新聞記者の方に感謝します。「夢」を記事として掲載していただかねば、NPO法人の「世界の砂漠を緑で包む会」との出会いはなかったでしょう。おかげさまで私は、念願としていたゴビ砂漠(阿拉善砂漠)を実験場として使えるようになりました。

NPO法人の「世界の砂漠を緑で包む会」の方達に感謝します。会員の方達は皆、私利私欲でなく、死ぬまでに一つくらいは良い事をしたいと自発的に参加し活動しておられます。現地での植林や種まき、観察など小生の実験に、無償でお手伝いや協力をしていただいています。特に第1回目の初めての実験の際に、熱い夏の砂漠地で73日間に渡り観察を続けていただいた、南出武夫氏に感謝します。


最後に

地球が人間だとすれば、砂漠はまさに病変組織です。地球は病気で発熱し(温暖化)救いを求めています。「地球の薬」が必要です。もちろん様々な治療法が考えられますが、「ソムレが、砂漠のみならず、地球を緑化する治療薬になる」事を期待しています。
 
そのためには、まだまだ今後多くの方々のご協力とご援助が必要になると思います。同じ夢に共感し、協力いただける方が輩出されることを祈っています。不思議な縁でたまたま本文を読まれた貴方、今後の精神的なご支援をよろしくお願いいたします。

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流動する砂丘への種投げ撒き

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砂嵐の中での苗木の植林

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ソムレと対照の根の長さ比較

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ソムレを使った苗木背の高さに成長