ブラジルに根付き広がりゆく協力の志 —第37回医療功労賞—

【画像】山本惠一先生

富山大学名誉教授
山本惠一先生

第37回医療功労賞(主催:読売新聞社、後援:厚生労働省・日本テレビ放送網、協賛エーザイ)の海外部門で山本惠一先生(現在富山県健康増進センター勤務)が選ばれました。医療功労賞は15年以上、国内外の困難な条件下の医療現場で職務に励み、顕著な功績をあげ、今もなお医療業務を続けている人物に贈られる栄誉ある賞です。
若い頃から「海外で医療貢献をしたい」という夢を持ち、JICAの医療協力プロジェクトに参加し、ブラジルでエイズ医療などに全力を尽くしてきた山本先生。ここにその活動を紹介します。

いざ、ブラジルへ

 山本先生は金沢大学医学部を卒業し、同大学講師を経て、1976年に富山医科薬科大学(現 富山大学)の教授に就任。94年に定年退官したのち、海外での医療貢献をするためJICAの日本・ブラジル医療協力プロジェクトへの参加を決心。当時、山本先生は65歳。若い頃から心に抱いていた想いを実現させるため、金沢市に妻の玲子さんを残し、遠い国ブラジルのサンパウロ州カンピーナス市に向かいました。

更に多くの人々を助けるためエイズ対策の取り組みに着手拡大

 富山医科薬科大学(現富山大学)藤巻雅夫教授(外科医・故人)とサンパウロ州立カンピーナス大学パウロ・へナート学長(当時・その後1995-2002教育大臣)との信頼関係を基にして1990年に開始した日伯医療協力プロジェクトは、当初消化器診断・研究を中心テーマとして、カンピーナス大学の診断研究体制の強化に成果を挙げました。

 1994年から派遣専門家チームのリーダーとして参加した外科医の山本先生は、「外科の分野で助けられる人数は限られるが、エイズ感染症対策にプロジェクトが取り組めば更に多くの人々を助けることができる」と考え、プロジェクトの第2フェーズではエイズ合併真菌感染診断・治療技術の指導に千葉大学宮治誠教授らの支援も取り付けて協力活動の拡充を図り、エイズによる死亡率の大幅な引き下げに貢献しました。カンピーナス大学はプロジェクトの成果を活かし、プロジェクト終了と同時に「サンパウロ州立エイズ研究・診療・教育センター」を設立しました。

 なお、プロジェクトの始動から確立まで尽力された国内支援・委員長藤巻教授のお名前はカンピーナス大学消化器センターに新設された講堂の名称Auditrio "Masao Fujimaki"として残されています。
 プロジェクト終了後の2003年、JICAはプロジェクトの成功に多大な貢献をされた山本先生に対し、国際協力功労者として川上総裁(当時)から感謝状をお渡ししました。

ブラジルからアフリカへ、協力事業の輪が広がる

 カンピーナス大学の消化器センターとエイズ研究・診療・教育センターのいずれもJICAプロジェクトを通じて高い技術を身につけたブラジル人医師たちを擁して、ブラジル国内における診療・研究・教育の拠点として重要な役割を演じるだけでなく、中南米諸国やポルトガル語圏アフリカ諸国から研修員を受け入れて人材育成を行っています。2008年からはアフリカ・アンゴラ共和国ジョシナ・マシェル病院に対する技術指導にも着手しました。
http://www.jica.go.jp/activities/issues/ssc/pdf/200801.pdf

日系人材の活躍

 消化器センターの現所長アデマール・ヤマナカ教授はプロジェクトの最初からブラジル人チームの取りまとめ役として尽力し、エイズ対策においてはエイズセンターのフランシスコ・ヒデオ・アオキ医師が活躍しました。このように中南米の協力プロジェクトでは、日本からの派遣専門家の活躍に加えて、現地の優秀な日系人材の活躍がプロジェクト成功のもう一つの鍵になっている例が多く存在しています。
http://www.unicamp.br/unicamp/divulgacao/2007/05/05/ademar-yamanaka-assume-gastrocentro

山本先生の終わらない支援

 カンピーナス大学に対する協力プロジェクトは2002年に終了し、現在同大学はJICAとともに対アフリカ協力を進めておりますが、山本先生のブラジル支援の熱意も衰えることはなく、命ある限り支援を続けたいと述べておられます。
 山本先生がなさっている現在の支援活動の一つに、サンパウロ日伯援護協会が経営する日伯友好病院の心臓外科部門の人材育成があります。心臓外科の世界的権威である金沢大学渡邊剛教授の下へ同病院に勤務するブラジル人医師を送り込んで研修できるように便宜を図っています。
2008年にはブラジル日本移民百周年記念協会から山本先生のブラジル支援の数々の功績を讃えて「笠戸丸賞」が贈られました。(笠戸丸『かさとまる』とは1908年最初の日本人移民の集団が乗船した船です)

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受賞の瞬間

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受賞者代表としての謝辞を贈られる山本教授

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山本ご夫妻