笑って繋ぐ「当たり前」の暮らしを未来へ

【画像】田中さやかさん(福井県出身)

青年海外協力隊OG
田中さやかさん(福井県出身)

タンザニアでの青年海外協力隊の思い出

2008年6月から2年間、青年海外協力隊の農業土木隊員として、東アフリカの国の1つであるタンザニアで活動しました。私の配属先は、インド洋に浮かぶ島々から成る地域ザンジバルの灌漑局でした。メインの活動は、灌漑水田を巡回し、農家に対して水路の維持管理に関するアドバイスを行うこと。ザンジバルでは現在、米の生産量を増やすため、灌漑農地を拡大しているところです。思うように進まない活動に悩むことも多い日々でしたが、収穫の時期、黄金色に実った稲の様子は、日本の秋の水田のようにきれいで、農家の人々の誇らしげな笑顔に、こちらも嬉しい気持ちになったことを覚えています。

2009年12月、大陸側からザンジバルへ電気を送っている海底ケーブルが故障しました。3カ月におよぶ全島停電の始まりでした。ザンジバルの灌漑水田の多くは、井戸から電気でポンプアップした水を使っています。1月の収穫期を前に、停電によって水の供給は断たれてしまいました。例年並みの収量を得られたのは、雨に恵まれるか早くに種を播いた一部の田んぼだけという状況に、悔しく無力感を感じました。いろんな思いを抱く中、農家の人びとや職場の同僚達、彼らのおおらかな優しさが、生活と活動、私の2年間を支えてくれていました。

帰国して感じることができたこと

現在、高校を卒業して以来8年ぶりに地元で生活しています。高校を卒業するまでの18年間、地元小浜市での生活しか知りませんでした。ここでの生活しか知らなかった頃、ここにある何もかもを、ただ当たり前だと思っていました。これらの全てが、この土地を拓いた人びと、暮らしてきた人びとが積み重ねたものの上に成り立っていること、私自身も、地元の山、川、田んぼ、人びと…全てに多くのものをもらいながら育てられたことを、今やっと感じることができるようになりました。これは、タンザニアでの生活で、社会・農業・人びとの暮らしが変わっていく様子を目の当たりにして、実感できたことだと思います。

タンザニアの人びとが教えてくれた「笑う・楽しむ」こと

タンザニアにいた2年間、不便に思うことがたくさんありました。でも、本当に楽しかった。「便利じゃない生活は楽しくないか?」、答えは「No!」です。水も充分じゃなかった、停電も多かった、でも、出会った人々はみんな、毎日を楽しむ力をたくさん持っていました。少しでも現地の人びとの役に立ちたいともがいた2年間でした。しかし、私が彼らに残せたものよりも、彼らが私に教えてくれたものや体験させてくれたことの方がはるかに大きいように思います。本当にありがとう、タンザニアを離れるとき心からそう思いました。

帰国から5カ月、これからどこでどう生きることになっても、「笑って元気に働くこと」が、たくさんの人びとが築いてきた暮らしを、未来へ繋げる鎖の輪の1つになると思っています。たくさん月日を重ねた後で、またタンザニアを訪れて、お互い変わったね…そんな風に感じながら、人びとの変わらぬ明るい笑顔に再会したいと思っています。

【画像】

タンザニアの雄大な景色

【画像】

灌漑の効果が実りに繋がった

【画像】

現地の人びとに支えられた2年間

【画像】

タンザニアの衣装を身にまとった田中さん

【画像】

タンザニアには思い出がいっぱい