自分自身の心の在り方で周囲や環境が変わる−シリアでの活動を通して−

青年海外協力隊OB 大沢野中学校教諭
上田隆徳さん(富山県出身)

体育隊員としてシリアへ

シリアの国旗

私は、2004年12月から2年間、シリアへ体育隊員として派遣されました。シリアではアレッポというトルコに近い都市にあるパレスチナ難民キャンプ地で、体育の授業を現地教員と一緒に行いました。派遣当初は困っている人のために何かできることはないかと意気込んでいましたが、滞在期間が長くなるにつれ、現地の方々への見方が変わっていくのを感じました。気付いたらいつも助けられるのは私の方で、言葉が話せず困っているときや、体調が悪くなり休養をとっている時なども私のことを心配し、自宅に食べ物を届けてくれたり、現地語が話せない私に言葉を教えたりしてくれました。「私は人を助けるために来たんだ!」と意気込んでいた私はとても恥ずかしい気持ちになりました。それからは考え方を変え、「一緒に何か楽しいことをしよう。」と心に決め、実行することにしました。

中東諸国で初のソフトボール大会を!

試合の様子

試合後の子どもたち

思いついたのはソフトボールでした。当時、中東諸国ではまだ行われていなかったスポーツであるソフトボールをシリア国内に広め、大会を行うことにしました。大会開催までには、富山県の友人たちを中心にして募金活動を行い、ソフトボール用具を支援してもらったり、北陸銀行野球部OBの方に使用しなくなったユニフォームなどを寄付していただいたりし、ようやくシリアの首都ダマスカスで大会を開催することができました。また、現地で活動していた当時の協力隊員やJICA職員の方々、現地スタッフなどの協力がなければあれほど大きな大会を開催することはできませんでした。大会開催後の現地の子どもたちやスタッフなどの笑顔を見て、少し協力隊の意味が分かったような気がしました。

協力隊を終えて・・・

シリアの街の風景 「写真提供:沼田 早苗/JICA」

約2年の任期を終了し、帰国した現在は富山市内にある中学校で保健体育の授業を行い、生徒と共に楽しんでいます。シリアの子どもと富山の子どもに違いはありません。やはり楽しいことをしたり、話したりすると目をキラキラさせて喜んでくれます。これからも子どもたちとともに毎日全力で楽しむことを目標に過ごしていきたいです。協力隊を通して学んだこと、「自分自身の心の在り方で周囲や環境が変わる」ということは今でも私の心の中に根付いています。私に関わっていただいた全ての方々にこの場をお借りし感謝します。本当にありがとうございました。

自身の経験を子どもたちに伝えたい

教員として今後は、夢や目標をもち、それを達成できる子どもの育成に携わりたいと考えています。協力隊と関わるのだったら国際協力では?と疑問に思われるかも知れませんが、まず、協力隊として経験したことや分かったことを自分と関わる身近な子どもたちに紹介したいと思います。そして、人と人とのつながりが大きく、深くなることで大きな夢や目標が自然と達成されるものであるということを知ってもらいたいです。そうした中で協力隊や国際協力にも興味をもってもらえればうれしいです。