カメルーン共和国での農業研修から

【写真】長崎 喜一さんNPO法人グリーンツーリズムとやま 理事長
長崎 喜一さん

NPO法人グリーンツーリズムとやまは、都市・農山漁村交流の推進や、元気で活力のある農山漁村作りを目指し、富山県内でさまざまな活動を展開しています。
その経験を生かし、JICA北陸の青年研修事業の研修員を受け入れていただいています。

青年研修「アフリカ仏語圏農村振興コース」を2年連続受け入れて

農民との交流を終えて

成果の聞き取り

アフリカに関心があったため、アフリカの農業・農村の実情や、要望を十分に把握しないまま、2012年度から、青年研修「アフリカ仏語圏農村振興コース」を受け入れている。
研修内容は、富山の水田農業を主体とした水利施設と米の生産、流通、販売に係るプログラムで、研修員には好評を得ており、満足している。

彼らは、農業で国づくりをしようという向上心が強く、質問も鋭い。富山に学ぼうとする意欲に溢れており、研修はやりがいがあった。
しかし、農業体験などの要望が寄せられながらも、日数の都合で十分な対応ができず残念だった。
また、近代化された富山の農業農村地域の研修が、母国での農業における国づくりの指針や方向性・夢づくりの参考になるのか、不安でもあった。

アフリカ農村の現状を知るため、いざカメルーンへ!

マタンゴに挑戦
(ヤシの実からできたお酒)

パームオイルが採れるアブラヤシの赤い実

アフリカの農業農村の現状把握と、青年研修のプログラムや教材開発のさらなる向上を目指して、2013年11月1日から11日まで、5名のメンバーでカメルーンへ調査に出かけた。カメルーンは、上記の農村振興コースに2年連続で参加している国の一つだ。

現地では、農業専門のスタッフを案内人に、家族経営の農場や部族農場、大規模農場、青空市場、加工場など、さまざまな農業形態、農村事情を知ることができ、訪問先からも大歓迎を受け満足だった。
思っていた以上に耕地は小さく、形は不ぞろい。農作業はすべてが人力、作物は集約栽培されているものの、水利施設は皆無だった。道路事情も悪いため、近代化には相当な時間を要すると感じた。
作物栽培は雨水に頼っているため、天候に左右される不安定な農業経営にならざるを得ない。そのため、安定した水源を確保するには、ため池づくりや取水施設の必要性を強く感じた。また、トウモロコシ、豆類、玉ねぎなどの「種」は自家調達でまかなっていることから、品質の劣化が見受けられた。増産には優秀な「種」の確保が緊急課題であろう。陸稲も見学したが、生育が悪く、栽培技術の確立と指導も急務だと感じた。

滞在は一週間だったが、農村めぐりを通して農民たちと出会い、彼らの生活文化や風習などに直接触れることができた。温かみを感じる異国でのグリーンツーリズムに満足した。

来年度以降への意気込み

現地視察を通じて知った、農村地域のインフラの未整備、人力に頼った農業に鑑み、近代化した日本の農業農村に至る政策、農民の意識や背景などを踏まえたプロセス、また講義や民俗資料館などで学ぶプログラムを強化したい。
視察した農家の大半が作物の「種」を自家調達しており、品質の劣化が見受けられたため、富山が誇る「種もみ」づくりのノウハウを重点プログラムとして、農業試験場から種籾生産、保管調整、全国流通までの一連のシステムを現場オンリーで取り組みたい。
あわせてアフリカに適合する陸稲を研究している富山植物資源研究所で、母国での陸稲実証栽培について討論会を開催したい。
雨水による自然農法では、近年の異常気象も手伝って作物生産が不安定になるため、水源確保の方法として考えられる灌がい用水施設を、現地で学ぶプログラムも再構築したい。

研修員を受け入れたことで、アフリカにより一層関心を持つことができた。今後も、農業農村計画に携わった経験をもとに、研修の受入れを通して微力ながら手助けをしていきたい。
今回、JICA北陸の支援を得てカメルーン共和国の農村を見聞し、生き様の原点を探求できた。