ベトナム・カンボジア調査団に参加して

【写真】杉原 清雄さんJICA北陸 中小企業海外展開支援アドバイザー (中小企業診断士)
杉原 清雄さん

2014年3月2日から9日の8日間、JICA北陸は、ベトナム・カンボジアにモニタリング調査団を派遣しました。北陸の企業が現地で実施している民間提案型普及・実証事業について、その進捗を確認し、目標達成のために必要な対策を実施することを目的に実施しました。杉原さんは、JICA北陸の中小企業支援アドバイザーとして調査団に同行し、現地のODA事業視察と日系企業訪問のため、両国を訪れました。

メコン(カンボジア)の岸部に立ち・・・これは「施し」ではない

【画像】盲目の父は片足がなく、その手を引いた女の子が車の窓越しにいくばくかを頼んでいる。年のころなら6〜7歳くらいであろうか。
老いたる者、若き者、どう見ても裕福とは言えない人たちが、ある者はそっと近づき、またある者は車の窓越しに子どもの手に何がしかを握らせている。
「施し」ではない。・・・それは、「よくがんばってきたな」との励ましである。20数年前ここではクメール・ルージュ等による内戦が続いていたのである。この場所がその舞台であった。この足下、この地面の真実なのである。そして、ここにいるほとんどの人々の記憶の中にそれはある。

「人々は歩み始めた」

【画像】きっと、抱えきれない悲しみをメコンの川底に沈め人々は前に向かって歩みを始めた。
来年、アセアン共同体が発足する。時を同じくして、我が国ODAによるこの「ネアックルン橋」が竣工する。このメコン川を跨ぐ大橋により、ベトナム「ホーチミン」、カンボジア「プノンペン」そして、タイ「バンコク」を繋ぐ東西経済回廊が完結するのである。
この橋を渡り、この道を通り「富」が循環し始めたとき、きっと床に臥す母のところに医療がもたらされ、幼子の手に教科書が届けられるに違いない。

ODAを活用した中小企業海外展開支援事業

今年、政府は、我が国がODA(政府開発援助)を始めてから60年目の節目に当たり、11年ぶりにODA大綱の改定作業に着手している。中でも注目を集めているのが、ODAによる生活インフラ整備であり、取分け中小企業が持つ独自の技術・製品を用いながら、途上国の課題解決を図ろうとする試みである。それは、ODA案件をこれまでのように日本企業が受注する形にとどまらず、中小企業サイドからの「ODAスキームを使った事業提案」の形をとり、もって現在進行中の成長戦略(含 企業国際展開)の原動力の一つとなしていこうとする試みである。

ここのところ、途上国からも我が国に対し、「援助より投資を」との声が年を追うごとに大きくなってきており、政府サイドもそれに応える形で日本企業の進出動向を把握し、民間投資拡大にも繋がるインフラ整備計画を積極的に推し進めているところである。
このような国際支援のあり方の変化も、今般の中小企業診断士招聘(しょうへい)の背景にはある。もとより我々診断士は企業活動に関して、国際等社会経済環境(外部経営環境要因)及び個別・集団企業経営諸要素(内部経営環境要因)をトータルに把握し、それらの経営の発展・継続性(ゴーイングコンサーン:継続企業体)を可能とする経営支援を中心業務としている。

このようなことから、先ごろ実施されたベトナム・カンボジア視察においては、各国首都近郊日系工業団地内企業(含 JICA支援スキームを使った中小企業事業)視察及びODA事業としての橋梁施設・下水道施設視察等により“多大なる気付き”を得たと同時に、先に述べた我々診断士の招聘の意味が腑に落ちた瞬間でもあった。

「人間の安全保障」の実践としての「4つの重要なアプローチ」

【画像】我が国ODAの特徴、「人間の安全保障」の視点より見えてくる多種多様かつ複雑な課題は、その解決において様々な専門的知見を組み合せ、分野横断的取組を必要とする。JICAはそれを実践的課題、「4つの重要なアプローチ」の初めに「マルチセクター・アプローチ」として掲げている。
それは、人々の抱える問題を中心に据え、その問題解決のために様々な専門的知見を組み合せて分野横断的に取組むためには、セクターの中で様々な協力形態を組合せたり、セクターを超えて包括的に開発課題に取り組んだりするというものである。
この点においても、今般の東南アジア2か国視察は、我々に大いなる示唆(気付き)を与えてくれたところである。

「いつくしみ」の心

【画像】おわりに、JICA青年海外協力隊スピリッツを我らなりに「他国に対する尊敬といつくしみの心」と解釈した。事後は隊員各位に恥じないよう、より一層研鑽に励み、支援においては更なる努力を持って邁進する決意である。