JICAインターンによるレポートを紹介します(その1)

2010年11月5日

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JICA北陸のスタッフの前に立ち、緊張しながらあいさつする学生の皆さん 

JICA北陸では毎年、北陸の大学で学ぶ大学生を対象に業務体験(インターンプログラム)を実施しています。

今年は石川県(金沢大学)から4名の学生が参加しました。インターン期間は2010年9月1日(水)〜9月10日(金)でした。

学生の皆さんはJICA北陸でどんな経験をし、どんなことを考え、感じたのでしょうか?

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インターンの皆さん

課外でのプログラムとして、JICA北陸が実施している研修を見学、そのレポートを紹介します。

2件の研修を見学、始めに「高齢者福祉におけるデイケアサービス」の閉講式に参加した様子をお伝えします(2件目は次回お伝えします)。

「高齢者福祉におけるデイケアサービス」の閉講式を見学して(以下、インターンの報告)

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アクションプラン発表会の様子(研修生の皆さん:写真左)

2010年9月8日。今回、私たち、インターン生は日系研修「高齢者福祉におけるデイケアサービス」の閉講式の様子を見学させていただきました。パラグアイ日系人社会では、高齢化が進んでおり、高齢者福祉対策が急務となっております。しかし、国や地方自治体による福祉対策は十分ではなく、日系人社会自らが高齢化対策を講じていかなければなりません。

今回の研修ではそのような現状を踏まえて、計4名(パラグアイ3名、ボリビア1名)の研修員の方たちは、デイケアと介護予防の実際と、地域での自立した福祉システム確立のための経験を学習しました。私たちが見学したのは閉講式だけでしたが、閉講式での研修生の皆さんの顔立ちは、研修の経験を積み重ねた自信と、これから、という緊張とで精悍な顔立ちに見えました。

午後、研修員の皆さんが今回の研修で得たものを自国の地域にどのように活かすかをまとめた「アクションプラン」を発表しました。アクションプラン発表会のなかで、パラグアイ・ボリビアの高齢者は元気で、認知症や閉じこもりの数は非常に少ない、というお話しがありました。高齢者と接してきた研修員たちに日本の高齢者の現状はどのように映ったのかが気になり質問をしてみました。お答えいただいたのはボリビアからいらした宮園英実さんです。

宮園さんはまず、日本では一人暮らしで寂しく生活している高齢者がいることに驚いたとおっしゃっていました。ボリビアでは高齢者が一人暮らしするということはほとんどなく、大部分が家族と一緒に暮らしているということでした。そして、例えば子どもが親元を離れたら連絡をよこさなくなるなどという、若者たちの高齢者に対しての疎遠な態度についても懸念されていました。そのような状況を改善するために、子どもは親への感謝の気持ちを大切にして、電話一本でもいいから連絡をしたりして関係を切らさないことが大切だということでした。

このお話を通じで、高齢者福祉においてもっとも重要なのは人と人との繋がりで、高齢者の方たちを常に誰かが気にしていることだと思いました。それによって高齢者たちの体調の変化にいち早く気づけたり、必要としている助けを直接知ることができたりするのだと感じました。

研修員の1人、家久玲子さんは、パラグアイのアマンバイ地区で、自営業をしながら現地の介護ボランティアグループに参加しています。彼女は現地での介護サービスを通して、ボランティアに参加してくれる人が少ないという問題に直面していました。今後の活動を継続していくために不可欠な人材育成のヒントを得ようと、この研修に参加したのです。そのために家久さんは、アクションプランでは介護の知識を高めるための勉強会を実施するなどの具体的な案を提案しました。

健康手帳の導入もその一つです。健康手帳はパラグアイでは導入されていませんでした。しかし家久さんは、利用者自身の健康診断の結果等を書き込んでいくことで資料となり後のボランティアの介護活動に役立つと考えています。家久さんは、「リーダーとなる若い人たちのために今回は学びに来た。分かりやすい教材等を使って研修で学んだことを伝えていけるよう、努力していきたい」と意気込んでいました。

パラグアイから研修に参加していた松橋さんに、現在日本で問題となっている孤独死の問題についてどう思うかを尋ねました。パラグアイでは長男、または長女が家を継ぐという文化があるため、彼らが成長すると親に代わって彼らが家を守ることになります。そして、親は老後も彼らと一緒に住むため、パラグアイでは孤独死ということは考えられないようです。

どこの国であっても、親は我が子の苦労を厭わずに苦労をかけて育て上げることに変わりはありません。しかし、日本では最近、苦労して育てた子どもは大人になるとすぐに家を出て行き、親との関係は希薄になっていきその果てには現在どうしているのかも分からず調べてみると死んでいた、という事件が多々起こっています。

松橋さんはこのような状況に悲しみを感じていて、親はたくさんの愛情を注いで子を育てても最後には放ったらかしにされて、それでは一生懸命育てた日々は何だったのだろうか、と感じてしまうだろうとおっしゃっていました。日本の家族関係の希薄化は深刻で、パラグアイの家族の強い絆を日本も取り戻さなければならないと感じました。

今回の研修を見学して、研修員の皆さんの自分たちの国に対して考える真摯な姿勢が印象に残っています。福祉という観点から自分の国の現状を客観的に把握して、自分にできることを探しだし、確実に一歩一歩踏み出していこうという意思が感じられました。日本では、自分を1人の「個」と捉える傾向にあり、自分は日本を支える人間の1人であるという意識が低いと考えます。自分たちが30代、40代になった時に日本について真剣に考え、国を思って行動できるように、大学の時期に自分の進路について考えることは非常に重要なことだと、今回考えさせられました。